《視点》ターニングポイント

2022/03/17 06:23 更新


 朝の通勤電車で車内を見渡すと、男女問わずにビジネスパーソンがリュックを背負っていたり、前持ちしていることがわかる。パソコンなどのデバイスを持ち運べる実用性と、両手を空けることができるという快適性によって、一昔前までは「NG」とされてきたビジネスマナーはほぼ消えたと言ってもいいだろう。

 バッグメーカーのエースによると、男性は東日本大震災、女性はコロナ禍がターニングポイントになったという。

 東日本大震災で帰宅困難者が発生したことで、リュックの方が楽という風潮が高まると同時に、ビジネススタイルもカジュアル化した。コロナ禍ではこれまでコーディネートやファッション性を重視していた女性も、たくさんの荷物を持ち運びやすく、体への負担が少ないリュックに目がいくようになった。

 これまでに経験したことがない災害や感染症が、消費者のライフスタイルを一変させた形だ。企業としては事業の存続を脅かしかねない危機にもなるが、新しいスタンダードを生み出すチャンスにもなり得ることがわかる。

(藤)



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