ひと月ほど、ひたすらじゅうたんの画像を眺めていた。じゅうたん専門店のサイトやSNSをのぞき、ヤフオクを見て、メルカリもチェック。モロッコのベニワレン、イランのギャッベ、ビンテージのペルシャじゅうたんと、じゅうたんかいわいのトレンドが見えてきて、相場感もつかみ、良いものはお高いなとため息をつく日々。なんちゃってで安く手を打つか、一生モノとして腹をくくって大枚払うか、あっちのサイト、こっちのサイトと行きつ戻りつ決めかねていた。
本場ペルシャではじゅうたん1枚買うのに、お茶を飲みながら値付け交渉で日がな一日過ごすのがだいご味と、物の本で読んだような記憶がある。
そこまでいかずとも、本来ならば見に行きたい。しかし、コロナ下かつ子連れになるしとグズグズしているうちに朝夕の冷え込みが増し、じゅうたんレス生活に耐えきれず、ついになんとか手の届く品をポチってしまった。
2日後には件(くだん)の品が我が家にやってきて、満足してはいる。その店は遠方で訪問は難しかったが、本当はその道のプロに立ち会ってもらい、あれこれ聞いてみたかった。その購入のシーンを、記憶に残したかったなと思う。せめて、何らかのウェブ接客サービスがあれば良かったのにと。人が買い物に求めるのは利便性だけじゃないんだなと、振り返って感じている。
(維)