婦人靴市場では今年も、デジタルテクノロジーを生かした売り方やオーダーメイドを強みに新規参入する企業が相次いでいる。靴は他産業と比較してデジタル化が進まず、現状は物作りも接客も人力がメイン。3D計測器やAI(人工知能)を生かしたサイズマッチング、3Dプリンターなどでもっと効率化できるのではないかと考える起業家は少なくない。
確かに、国やメーカー、ブランドによってサイズ規格が異なり、自分に合った一足を見つけるのはファッション製品の中で一番難しい。特にパンプスは、足が覆われる面積が少ない上、足先に負荷がかかり、フィット感がなおさら問われるとあって、そこにビジネスチャンスがあるはずと試行錯誤が続いている。
ただ、そのデジタライゼーションを考え出す人は、今のところ男性なのである。そこに「錯誤」が続く理由があると思う。
パンプスを好んで履き、投資する女性の多くは、エレガンスを感じさせるフォルムやカットラインを大事にする美意識の高さを持っている。その心理を理解できなければ、新しいテクノロジーも生かされないだろう。
(渉)