カジュアル化が進み、スーツにシャツを着て、ネクタイをする人が減った。シャツメーカーは「普段はTシャツ、訪問先でだけジャケットを羽織る人が増えた。シャツもネクタイ同様に市場が縮小しそうだ」と危機感を募らせる。ネクタイメーカーは「お客や取引先に与える印象を考えると、TPOに応じてネクタイを締めた方が良いシーンは必ずある」と言うが、そうした考えはマイノリティーになりつつあることも否定できない。
あるIT企業は、今夏から営業の外回りはネクタイをせず、TシャツやポロシャツでOKにした。「ネクタイ姿で汗まみれのほうが失礼だし、古臭い企業という印象も与えかねない」と社内で意見が一致したそうだ。メガバンクでさえ、働きやすい環境整備の一環としてTシャツ勤務を認める動きが出てきている。
一部のファッション好きはカジュアル化の反動で、タイドアップスタイルに回帰している。ボリュームゾーンは苦戦しても、高価格帯は健闘しているネクタイメーカーも多い。限定的だが、ポジティブな材料もある。期待したい。
(藤)