《どう作るどう売る》ニットウェア ウメダニット社長梅田大樹さん 専門性高めて差別化を

2023/08/28 11:00 更新


梅田大樹代表取締役社長

 61年創業のニットメーカー、ウメダニット(新潟県五泉市)のオリジナルブランド「ラッピンノット」は、昨年で10周年を迎えた。伸縮性の異なる編み地もきれいにつなぎ合わせる縫製技術の高さや、ハイゲージニットの編み地の美しさが商品の特徴だ。セレクトショップへの卸売りを中心に、服好きの20~40代の客をつかんでいる。

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 10年前に比べてファクトリーブランドが増えたので、どう差別化するかが大切だと思っています。ブランドを立ち上げた当初は布帛のボトムやコートなど、いろんな物を作っていましたが、専門性をより強くするため、徐々にニットウェアだけに絞っていきました。

 この10年はオリジナルの糸を開発したり、編み立ての技術を強化しました。以前は四角の編み地を各パーツの形に切り揃えて縫製する商品がほとんどでしたが、最近は部位ごとに成形して編み立てる商品や、以前よりも難易度の高い編み方の商品も増えています。編み地が細かくて美しく、長く着ても着崩れしにくいセーターは、バイヤーから好評です。

 今はニットで表現できるデザインの幅を広げることに力を入れています。当社にデザイナーはいないので、私がデザインを起こし、企画チーム4人で形にしています。シーズンごとのコレクションで表現するテーマは食や音楽など、自分の興味のあるものから着想します。24年春夏物は、南米の有名レストランの料理の盛り付けや食材から着想しました。鮮やかな色や個性的な柄、凹凸に特徴があるローゲージのセーターは、ファッションが好きな新しい客層の獲得にもつながっています。

 当社は元々OEM(相手先ブランドによる生産)専業でしたが、現在は売り上げの3割がブランド事業です。これを5割まで引き上げることが目標です。ブランドがきっかけで会社の知名度も上がり、新規の取引先や新卒採用の応募が増えたりと、会社全体にも良い影響がありました。新しい取り組みを続けて売り上げを伸ばし、技術を持つ職人たちの待遇を上げ、次世代に技術伝承したいと思っています。



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