東レの人工皮革「ウルトラスエード」 100億円投じ生産設備1.5倍に

2023/01/13 11:00 更新


自動車内装材での需要が拡大(レクサス「IS」の特別仕様車)

 東レは国内で生産するスエード調人工皮革「ウルトラスエード」の生産設備増強を決めた。現在の年間生産能力1000万平方メートルを1.5倍の1500万平方メートルに拡大し、24年後半の稼働を予定する。設備投資額は約100億円。

 基布のニードルパンチ不織布を製造する滋賀事業場と、ウレタン含浸や起毛といった後工程を行う岐阜工場それぞれ、生産能力を拡大する。ウルトラスエードは、カーシートなど自動車内装用途で需要が高まっており、19年にも600万平方メートルから1000万平方メートルに増強した。

 特に世界的な電気自動車の生産増に伴い、内装でも環境負荷を抑えた素材を採用する動きが増し、天然皮革代替でシート、天井材、ドアトリム、インパネといった採用部位も広がっている。こうした背景から今後もウルトラスエードの安定的な成長が見込まれ、19年に続く大型増設を決めた。

 ウルトラスエードは13年からグローバルブランド戦略を本格化し、旧「エクセーヌ」からウルトラスエードにブランド名を統一、東レグループとして日本製のウルトラスエード、伊製の「アルカンターラ」の2ブランドをグローバル展開する。

 ウルトラスエードは最近ではサステイナブル(持続可能な)の打ち出しを強化し、基布やウレタンを植物由来原料に置き換えたタイプが支持される。またスエードと銀面調の中間の質感を表現した「ウルトラスエード・ヌー」を開発し、こちらも採用が進んでいる。



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