ワールド上山健二社長「持ち株会社体制で成長加速」

2017/02/09 12:46 更新


 16年度上期は2期連続の営業増益となった。複数のブランド・ショップが既存店増収を達成するなど、15年度から開始した構造改革が進展している。物流拠点の新設、ECと店頭在庫の連動など、再成長に向けた新たな取り組みも開始した。17年度からの事業持ち株会社体制への移行で、事業拡大の「確度を高める」方針だ。

 

“基本は、商品力”

 

■既存店増収を追求

――構造改革の進捗(しんちょく)は。

 利益の出やすい構造になりつつあると感じています。アパレルに対する世の中の否定的な論調に対して、そうではないということを社員の頑張りで証明してくれたと感じています。

 少子化、高齢化、生産年齢の人口減などマクロ的にみれば消費のパイは大きくはなっていません。天候要因もあるなかで、百貨店レディスブランドを中心に天候に左右されにくいMDの提案が出来てきました。

 中期経営計画を15年度からスタートするにあたり、利益を伴わない売り上げを追わないと言ってきました。赤字店舗の閉鎖、赤字ブランドの終息の結果、残っているブランド、店舗は売れれば利益が出ます。

 消費のパイが大きくはならないなかで、既存店(売り上げ)100%を達成することは非常に意味のあることです。下期は、上期以上に既存店100%に近づいている気がしています。

 ――重視してきたことは。

 商品力、営業力、そのすべてを支える人間力を高めることについて口酸っぱく言ってきました。基本は、プロバーで買ってもらえる商品を提案する商品力です。それをできるだけプロパーで販売する。あと1枚の販売に、プロパー期間はもちろん、シーズン末のセールであってもこだわる。

 そういうマージナルな努力が確実に利益を生むからです。商品力では、「Sランク」商品については責任を持って在庫を積む。その精度は上がってきています。

 ――新物流センターが16年12月に稼働した。

 これまで物流倉庫は分散していましたが、新物流センターの稼働でSCブランドの7割方の商品を集約しています。基本的には手作業だった仕分けが自動仕分けになりますから、相当な省力化になります。店頭とECの物流倉庫とは別ですが、コンピューター上は在庫の一元化、見える化は出来ています。

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ワールド上山健二社長

 

“一番の狙いは社長が増えること”

 

■店舗とECの在庫連動 

――店舗と自社ECの在庫の連動も開始した。

 店舗、ECのどちらも相当に機会ロスが削減できたと報告を受けています。店頭在庫が少ない地方の店舗で欲しい色がないなど欠品していても、EC在庫があればその店の売り上げになりますから、店の売り上げを伸ばす可能性が高まります。EC販売も相当伸びています。

 ただ、ブランドによってEC化率はまちまち。どのブランドも一番店はECなのに、それをあまり気にしていないブランドもあるのが現状。リアル店舗の一番店には優秀な店長を配しているのに、EC店長を置いていないブランドもあります。そこに手を入れたブランドは飛躍的に売り上げが伸びています。

 ――持ち株会社体制に移行する。

 3カ年の中期経営計画は、ワールドグループの永続性のために絶対やらなければならない必要条件でした。その中計で見込んでいたことは2年である程度出来てきました。

 ただし、それで永続性が担保できるのかと言えば、必要十分条件ではありません。中計3年目の総仕上げとして、収益性、永続性の確度をより高めることが持ち株会社体制の狙いです。

 これまでは、商品力、営業力、人間力を高めることを全社でやってきました。事業子会社にすることで、PL(損益計算書)が今まで以上に見える化できます。もっと磨きをかけよう、無駄な経費を減らそうとする、収益性を高めるドライブが掛かります。

 一番の狙いと効果を言うなら社長が増えること。覚悟を持った経営者が増えることで、規律ある経営判断の頻度が高まります。これが絶対的な成功の鍵だと考えています。



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