デザイナー、アーティストの篠原ともえさんは、正倉院に保存されている「漆胡瓶(しっこへい)」を元に衣装を制作した。8月24日まで大阪歴史博物館(大阪市)の6階特別展示室で開催されている特別展「正倉院 THE SHOW―感じる。いま、ここにある奇跡―」で展示する。
特別展は毎年奈良県で開催されている正倉院展とは違うアプローチで新たな魅力を発信することを目指している。現代アーティスト4人が宝物(ほうもつ)から着想を得た作品などを披露する。
篠原さんが制作した衣装は、動物や昆虫などが描かれたペルシャ風水瓶の漆胡瓶からインスピレーションを得たもの。手作業で紋様をトレースし、表情を再現するために試行錯誤を繰り返して1年以上かけて作り上げた。3Dデータを元に人のサイズまで拡大したことで、より細かな紋様を近くで見られる。特別展のグッズとして、ポストカードセットも用意した。
篠原さんは、「夢中になって制作している中で、当時の職人たちと会話しているような瞬間があった。作品を通じ宝物が持つ物語をのぞき込み、楽しんでほしい」と語った。
このほか特別展では、最新のテクノロジーを使い、肉眼では見ることが難しい部分も見られる高精度な3Dデジタルデータやレプリカを披露。映像や音楽、照明と組み合わせて展示し、体感型のイベントにした。「螺鈿紫檀五絃琵琶(らでんしたんのごげんびわ)」などのレプリカのほか、香木「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りを再現した展示物を見られる。
9月20日~11月9日に東京・上野の森美術館でも開催する。