JR東日本と東急不動産HD 国内外の街作りで連携 5年後に事業収益1000億円へ

2023/02/14 15:06 更新


会見するJR東日本の深澤社長(左)と東急不動産HDの西川社長(右)

 JR東日本と東急不動産ホールディングス(HD)は2月14日、包括的業務提携契約を結んだ。両社グループの持つ不動産資産や人材、事業ノウハウなどを活用し、住宅や再生可能エネルギー事業、海外事業などを連携して推進、「環境共生・コミュニティー自助型の持続可能な街作り」を目指す。国内外で多機能・複合型の開発を行い、事業開始から5年度をめどに1000億円の事業収益を目指す。第1号開発案件として、船橋市に住宅、商業施設、再エネ発電施設などの大型複合施設を26年以降に完工する予定だ。

(有井学)

 提携期間は23年2月~33年2月までの10年間。両社はこれまで渋谷駅の再開発や鉄道事業などで連携しており、今回の提携でさらに踏み込む。JR東日本の持つ不動産資産、鉄道事業、地域ネットワークなど、東急不動産の不動産活用や再エネ事業などのノウハウを活用する。

 第1号案件は船橋市市場1丁目のJR東日本の社宅跡地を再開発する。敷地面積は約4万5000平方メートル。その後も「スピード感を持って事業を開発」(深澤祐二JR東日本社長)し、JRのノウハウも生かして駅前複合開発などを推進する。

 東急不動産HDは自社発電施設で再エネ事業を拡大している。JR東日本が保有する土地・建物資産も活用し、5年以内をめどに5カ所前後の再エネ施設を新設する。来年度に再エネ施設開発のための100億円規模のファンドを作り、今後10年間で1000億円規模を目指す。

 海外事業の連携はまずは両社が実績がある東南アジアで複合開発を進める。第1弾はインドネシアで、「順次、拠点を広げる」(西川弘典東急不動産HD社長)方針。このほか、「新しいワークスタイル」に対応した事業も行う。

 両社ともに中期経営計画で街作りを通じた事業領域拡大による新たな成長戦略を進めており、その加速に向けて「方向性が一致した」(西川社長)ことから提携に至った。両社ともにコロナ禍を受け、今後の成長に向けた「一定の危機感」があり、昨秋から提携への協議を進めてきたという。JR東日本の深澤社長は提携によって「1社ではできない輝ける未来を作りたい」と強調した。



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