【ニューヨーク=杉本佳子通信員】ニューヨークのティファニー本店が3年以上の改修工事を終え、「ランドマーク」として4月28日に再オープンした。1940年にオープンして以来、初の全面改装。朝から多くの人々が行列を作り、日本人女性が乳母車を使い赤ちゃんと入店した時は、「最初に来店したベビー」として販売員たちが拍手で歓迎した。早速商品を手に取り、買い物する客の姿があちこちで見られた。
新生ティファニーに入った客の目をまず奪うのは、両側の壁全面のデジタル動画だ。オープン時は明るいブルーの空を背景にニューヨークの摩天楼と桜の花が映し出され、時折鳥が飛ぶ。壁とつながる天井部分は鏡を使い、動画を投影してダイナミックな雰囲気を作り出す。動画の内容は季節によって変わるだけでなく、同じ日でも、外が暗くなってくると自動的に夜の光景に変わる仕組みだ。天井の中心部には、ダイヤモンドのファセットを抽象化した巨大なインスタレーションを取り付けた。エレベーターのそばには、LVMHモエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトンが購入後初めて一般公開するジャン=ミシェル・バスキアの「Equals Pi」を飾っている。
建物の全フロアに敷き詰めた寄せ木細工のフローリングは、40年に開店した当時のデザイン。3階から8階をつなぐらせん階段はエルサ・ペレッティの官能的でオーガニックなフォルムにインスパイアされたもので、彫刻的なロッククリスタル素材の手すりを取り入れた。
店内空間の再構築はニューヨークの建築家のピーター・マリノ、建物の中核と循環インフラの改装、3階建て増築部分は日本人建築家の重松象平がパートナーを務めるOMAニューヨークが指揮を執った。
売り場は1階及び3階から7階まで。6階のカフェ「ブルーボックスカフェ・バイ・ダニエル・ブリュー」と、8~9階のギャラリーは5月末にオープンする予定だ。カフェは予約客のみ受け入れる。
ニューヨークの様々なランドマークを描いたカップと皿、一部の腕時計など、本店限定販売商品もある。1877年に南アフリカで採掘され世界最大のイエローダイヤモンドの一つとされる128.54カラットの「ティファニーダイヤモンド」はデザインが刷新され、同店で初めて披露している。