韓国発ストリートブランド「ディスイズネバーザット」 原宿の旗艦店から世界へ

2023/09/25 15:00 更新


原宿の旗艦店。内装はクリエイターの野村訓市氏率いる設計デザイン事務所「トリップスター」が手掛ける

 「ディスイズネバーザット」(JKND)は、韓国で10年にスタートしたアパレルブランドだ。日本と米国のストリートカルチャーに影響を受けた90年代の韓国ファッションを意識したデザインで支持される。21年5月に日本法人のJKNDジャパンを設立、昨年10月に日本初の旗艦店を東京・原宿に出し、公式ECを開設した。来年には英ロンドンに出店する計画で、日本を含めた海外事業を強化する。

 代表のチョ・ナダン氏、パク・インウク氏、チェ・ジョンギュ氏が立ち上げた。チョ氏が中学時代の同級生だったチェ氏をパク氏に紹介したのが3人の出会い。00年代前半の頃だった。パク氏とチェ氏は当時日本に留学しており、渋谷周辺の路面店をよく巡っては、裏原ブームに象徴される日本のストリートファッションに刺激されたという。一方のチョ氏は米国に留学。3人が留学先で見ていたファッションがブランドの根底にある。

 日本の旗艦店は代表3人が「出店を夢見ていた」裏原宿にある。「裏原宿のような、ストリートブランドが集まっている場所は韓国にない」とイ・ジュンウンJKNDジャパン支社長。今後、海外事業に注力するうえで「裏原宿で成功したらグローバルでも勝負できる」と考えた。日本では昨年3月から本格的に活動を始めた。

 原宿に出店する以前から、仏パリでの展示会を通じ、日本国内のセレクトショップで販売し、「ニューバランス」「コンバース」などとの協業でも注目を集めていた。原宿の店舗に来店するのは現在、国内客とインバウンド(訪日外国人)客が半分ずつ。服がメンズをベースにユニセックスでも着られるもののため、国内客は20代男性が多い。韓国のアーティストやラッパーの着用がブランドの認知度向上に一役買っている。

23年秋物。日本では20代に、本国の韓国では10、20代に支持されているという

 日本では全国の専門店への卸しや、地方都市の有力セレクトショップやファッションビルへの期間限定店の出店に意欲的だ。客の信用を築くため、出店先の地元で知られるブランドや店との協業などもしたいという。直近では福岡市のセレクトショップ「アップルバターストア」で期間限定店を開いた。中長期的には常設店の出店もにらむ。ECの売り上げを伸ばすためにも、実店舗での顧客作りが大切と考える。

 本国の韓国では現在、11店(路面店が1店、他は百貨店)と、自社ECと韓国のファッションECモール「ムシンサ」で販売する。当面は国内での新規出店は抑え、海外事業に集中する意向だ。JKNDはディスイズネバーザットのほか、二つのセレクトショップも運営する。昨年から今年にかけてはレディスとスポーツウェア、コスメ系の新ブランドを始め、将来的には日本での販売も検討する。



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