【記者の目】参入目立つオフプライス サステイナビリティー背景に

2019/12/31 06:29 更新


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 ブランド衣料の在庫を買い取り、安く販売するオフプライスストアがにわかに注目を集めている。異業種を含め今年になって参入が目立つ。新しい業態ではなく、日本ではなかなか根付かなかったのだが、最近は余剰在庫、廃棄や焼却がサステイナビリティー(持続可能性)の観点から問題とされ、これを解決する業態として位置付けられたことが背景にある。ブランド衣料在庫のもう一つの処分拠点、アウトレットの問題とともに考えてみたい。

(大阪編集部長 古川富雄)

異業種含め参入増

 オフプライスストアは80年代アメリカで成長を始め、今日でも成長力のある業態として知られる。買い取り取引が基本のアメリカでは、在庫や在庫になりそうなものを他社に売って現金化することは必然とされている。一方、日本は買い取り以外の取引も多く、国土も狭いため正価品との競合を避けたいと意識が強く定着することはなかった。

 それでもブームになりかけたことはある。1992年、パソナグループが大阪に海外ブランド中心のオフプライスストア「デザイナーズコレチオーネ」を出した。バブル経済が崩壊した直後という時代背景もあり、大きな話題を呼んだ。その後東京・原宿など一等地に次々と店を出したが、数年後には事業を撤退した。

 それから四半世紀が経った。ゲオグループが今年4月、「ラック・ラック・クリアランスマーケット」1号店を横浜市に開き、7月には大阪府八尾市に2号店を開いた。ワールドはゴードン・ブラザーズ・ジャパンとの共同出資会社により、オフプライスストア「アンドブリッジ」1号店を9月、さいたま市に出した。ホームセンターのジョイフル本田は11月、ジョイフル本田宇都宮店内に期間限定ながら、オフプライスストア「ディスカバ!」1号店を出した。

 一方、業界の流通在庫買い取り業者によるオフプライスストアの展開も進んでいる。shoichi(大阪市)は買い取った在庫を格安で販売するショップ「カラーズ」を大阪、東京など国内に10店、マレーシア、カンボジアなど海外に8店持っている。特に東南アジアは市場が成長しており、日本ブランドへのあこがれもあるとして、昨年から急速に店舗を増やしている。

ワールドグループが手掛けるオフプライスストア「アンドブリッジ」

エシカル消費味方に

 動きが目立ってきた背景には、外衣だけで年間14億着も売れ残りが出るという構造的な供給過剰がある。アパレル業界は90年代後半には在庫ロスと機会ロス削減を目指したSPA(製造小売業)を確立したと思われたが、08年のリーマンショック以降、ほころびが目立ってきた。ファストファッション参入などで単価がぐっと下がり、枚数は増えるという現象が続いている。

 著名ブランドによる在庫焼却もきっかけとなり、アパレルの生産販売とサステイナビリティーが大きく問われるようになった。二次流通はBtoC(企業対消費者取引)だけでなく、CtoC(消費者間取引)も普通になり、在庫を活用、再利用するという人々の意識は大きく変わった。こうして日本でようやくオフプライスストアが日の目を見る時代が来たということになる。

 ワールドは事業目的について「過剰となった衣料品を再循環させ、価値あるブランドの商品を魅力的な価格でお客様に提供する持続可能な業態モデルを構築していく」としている。shoichiは廃棄ゼロを目指し売り上げの一部を現地のNPO(非営利組織)などに寄付している。サステイスナビリティー、エシカル(倫理的な)消費という世の中の大きな流れを味方にして業態確立を目指すということだ。これはこれで良いことだと思うし、在庫を有効利用する姿勢は買いたいと思う。

 一方、同じブランド衣料の安売り店でも、自社在庫を自ら売るアウトレットは、90年代以降、アウトレットモールが発展し、定着している。もともとはサンプル、B級品、キャリー在庫を売って現金化する装置だった。サイズ、色柄切れは当たり前の世界だが、多くのアウトレットはサイズも色柄も揃っている。アウトレット専用商品があることは今や消費者も知るに至っている。アウトレットを宝探し的な楽しみと思っていた人は離れていることも多い。

 モールとしての集客力があることから、いつの間にかアウトレット=収益店舗とするブランド、企業が増えた。そうなると正価で販売している店舗やECで買うことに嫌気がさす人が増え、結局正価販売率がさらに下がり、在庫を生むという循環ができてしまう。オフプラスストアが収益装置であるのは当然だ。アウトレットは改めてブランド全体での位置付けを見直し、正価販売率を上げられる施策を練り直す必要がある。

古川富雄=大阪編集部長

(繊研新聞本紙19年12月2日付)

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