デンマーク生まれの日本人兄弟、井上聡と清史によるソーシャルデザインを重視するブランド「ザイノウエブラザーズ」はここ数年、物作りや社会に対する考え方を共有するブランドとともに展示会を行っている。
(青木規子)
彼らが力を入れているソーシャルデザインとは、社会や生産背景の課題に目を向け、デザインを通じて責任ある物作りを目指すこと。「全てのプロジェクトにおいて、責任ある生産方法への関心を生み出すことが最大の目標」としている。自社ブランドの活動だけでなく、同じように社会に働きかけるブランドと共に発信することで、活動が重層的になってきた。
伝統工芸の継承を支援
特に目を引くのは、テルアビブを拠点とするイスラエルとパレスチナのクリエイター集団によるストリートブランド「アディッシュ」。イスラエル人とパレスチナ人、パレスチナ系アメリカ人の若者4人が18年に設立したブランドで、パレスチナ刺繍などの伝統工芸の継承を支援し、文化遺産の存続を目的にコレクションを作っている。日本では22年から、ザイノウエブラザーズと展示会を行っている。