グリーンなSC(古川富雄)

2015/05/14 18:06 更新


ショッピングセンター(SC)もずいぶん変わってきました。かつては物を効率的に買う場であったわけですが、それだけでは今の人々の欲求は満たせません。

最近、2つの改装SCで感じたことがあります。それは、グリーン。そこに人が集まり、快適さを感じて、長居をする。そんな役割をSCが持とうしている気がします。

4月24日、神戸・三宮の国際会館(SOLというSCが入居してます)の屋上に「そらガーデン」ができました。今やプラントハンターとして時の人になっている西畠清純さんが手掛けた屋上庭園です。


屋上庭園

 

そのシンボルとなっているのが、スペインから輸入した樹齢500年のオリーブの木。

オリーブですから、くすのきのような巨木ではありませんが、その風貌には圧倒されます。いずれはうっそうとした森となり、たくさんの花や実が付くことになるそうです。

 

 
樹齢500年のオリーブの木

 

庭園にはもともと「トゥーストゥース」のレストランがあり、グリーンと一体化する特別な場所になるかもしれません。

庭園そのものは1円の売り上げもつくりません。それでも国際会館が莫大な費用をかけて整備したことは、今後のSCのあり方を示していると思います。グリーンをめざして時間を過ごし、樹木の変化を感じながらリフレッシュする、そんな場を人は求めるのでしょう。

 


中央がプラントハンター、西畠清純さん、左はトゥーストゥースを運営するポトマックの金指光司社長


5月8日には、大阪駅に直結したルクアイーレに蔦屋書店ができました。3300平方メートルを超える売り場には500席という無料スペースがあります。

ここでコーヒーを飲みながら自由に本を読める。多くの樹木があり、照度を落とした空間で目にも優しい。しかも、冷凍・冷蔵食品も預かってくれるクロークもあり、至れり尽くせり。

 


樹木が多い蔦屋書店

 

ネット時代にあえて、書籍というアナログアイテムに焦点を当て、他にはない空間を作り上げている。都心の駅ビルがこうした店舗を入れたのも、今の人々のニーズを先取りしたんだと思います。

 


照度を落とした蔦屋書店の内装

スターバックスが入居



古川富雄 大阪支社編集部長が、関西のファッションビジネス情報の周辺、裏を紹介



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