帝人フロンティアは、バングラデシュからのアパレル輸入が前年と比べて微増ペース(1~3月)で推移している。コロナ禍でもそれほど生産量は落ち込まず、円安が逆風だが19年と比べほぼ同程度と安定している。
【関連記事】後発開発途上国からの卒業でどうなるバングラデシュ生産
メンズカジュアル向けの綿Tシャツが大半を占めている。バングラデシュの協力工場5、6社を活用しており、糸から生地、製品生産までの一貫の取り組み。布帛アイテムも一部ある。Tシャツが軸だとどうしても春夏向けに偏るため、チノパンやジーンズ、ウィンドブレーカーといった年間定番的なアイテムの生産を増やす考え。「工場の閑散期対策にもなる」と小山博之ダッカ駐在員事務所所長。「一番理想的なのは帝人の高機能素材を使ってバングラデシュで縫製する高付加価値製品」と中国の南通帝人やタイのナムシリ・インターテックスなどとの連携も進める構え。
懸念するのは26年11月に予定されているバングラデシュのLDC(後発開発途上国)からの卒業だ。国際社会から恩典として認められている無税・無枠の特別特恵関税(LDC特恵)が活用できなくなり、日本向けの綿TシャツなどではFOB(本船渡し価格)で11%ほど関税がかかるとみられる。「価格面でのメリットが薄れると品質、船便の輸送期間の長さなどで中国との天秤にかけられる恐れがある」とさらなる品質向上や付加価値品の生産、協力工場との関係強化や新工場の開拓などに力を入れる。