「タオ」はこのほど、コムデギャルソン本社で24年春夏コレクションをフロアショー形式で披露した。ナチュラルなムードと藍色のバリエーション、ギャザーで作るドレープを特徴とするコレクションだ。たくさんのクラフトテクニックを入れながら、プリミティブでリラックスした気分が漂う。
春夏は「コムデギャルソン」にもプリミティブなムードを感じたが、それとはまるで違う。川久保玲の張りつめた空気とは真逆の緩やかな南国のムード。手描きのような不ぞろいのドット柄のドレスは、斜めにギャザードレープが流れ、インドのサリーのようなワンショルダーシルエット。手刺繍のベストはインドネシアの民芸品のようだ。ドレスやセットアップ、パンツには様々なトーンの藍色がのせられる。白一色のコーディネートに組み込まれたクロシェのシャツが、イノセントな空気を運ぶ。
ハンドクラフトのテクニックと春夏のビッグトレンドともいえるギャザードレープを使いながらも、しっかりと日本的な〝カワイイ〟の要素も残っている。それはパンツやスカートのふんわりしたボリューム感のせいかもしれない。クラフトテクニックのクリエイションとカワイイのバランスこそが、栗原たおらしさなのだと改めて感じたコレクション。
(小笠原拓郎)