リボン製造・販売の高島リボン(福井県鯖江市)は、温室効果ガス(GHG)削減などに貢献するサステイナブル(持続可能)な物作り目標で、国際的なイニシアチブの「SBTi」の認定を取得した。また、工程から発生する端切れリボンなどを再利用したアップサイクル商品を販売する自社ECショップ「NINER」(ニナー)を立ち上げ、DtoC(メーカー直販)ビジネスも開始した。
(藤浦修一)
同社は、1932創業のリボンメーカー。シャトル織機とニードル織機を持ち、日本国内と中国の子会社で、細幅織物の製造販売を行っている。ポリエステル、ナイロンを主体にレーヨンやシルクのリボンも製造、商品企画から糸の準備工程、織り、染色、仕上げ工程まで一貫生産していることが強み。特に手間がかかるパイル織物、ベルベットなどの技術力に定評がある。国内外のファッション衣料用をはじめジュエリーなどの高級品用のラッピング向けに販売している。
SBTiは、気候変動のグローバルな情報開示を推進するNGO(非政府組織)のCDPなどが共同で設立した国際的なイニシアチブで、企業が設定したGHG削減目標に対して、独立した立場で審査、認定している。
高島リボンは、慶応大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)の支援を受け、6月にSBTiの認定を取得した。認定を受けた削減目標は、事業者自らによる温室効果ガス直接排出のスコープ1、2で21年度比30年には51%削減、原材料、運送、廃棄物のスコープ3で同30%削減するもの。スコープ1は、省エネなどにつながるサステイナブルな加工への切り替え、スコープ2は再生エネルギーへの転換に取り組み、50年にはカーボンニュートラル実現を目指す。
スコープ3はサステイナブルな原料への切り替え、製造ロスの焼却処分ゼロを掲げ、30年までに13年度比でサステイナブルな原料への切り替え70%を目標に置く。現状は、ケミカルリサイクルポリエステル「レニュー」や魚網からのリサイクルナイロンなどへの切り替えで40%程度の到達。見本帳で販売する定番品などで、すでに3500点がサステイナブルな商品となっており、今期中にはこれが1万点を超え、販売量の50%を突破するとみている。
同社はかねてから「アイアムサステイナブル」のブランドでサステイナブル素材を使ったリボンの製造、販売を行っているが、SBTiの認定取得で環境対応の取り組みを加速させる。「従来品かサステイナブル商品かではなく、全製品を完全にサステイナブル素材に切り替える」(高島祥彰専務)方針で、サステイナブル素材に切り替えても企業努力で商品価格は変えないとしている。