漠然とした”欲しい”に店が答え店に呼ぶ

2015/12/11 12:19 更新


 アパレルショップと消費者をつなぐコミュニケーションプラットフォーム「スタイラー」を運営するスタイラー(東京)は、欲しい商品の漠然としたイメージや買い物の悩みといった消費者の投稿に、店のスタッフがSNSの感覚で返事する仕組みを構築し、大手セレクトショップが導入し始めている。服の購買欲は、インターネット上の検索や数値化に不向きで、情報として埋もれ易く顕在化しにくかった。人の言葉による接客をバーチャルに持ち込むことで、両者の接点と購買・販売機会を広げる狙い。ウェブサイトでのテストを経て10日、iOS版アプリをリリースした。

 「人とかぶらなそうな黒リュックが欲しい。カジュアル寄りでありながら、少しフォーマルな格好の外しにも使えると」「ジャケットに合うリブパンツを探している。何かおススメは」―――。スタイラーのフィードには、数値では表現しきれない繊細なニュアンスを含んだユーザーの声が並ぶ。

 こうした投げ掛けに対し、登録ショップは自店のお薦め商品情報を写真とともに投稿する。一つの質問にショップが各々返信するため、投稿者は複数の選択肢を得ることができる。ECや店舗の案内が添えられているため、気に入った商品があれば、いずれかの方法でアクセスし、購入してもらう流れ。スタイラー内に決済機能はなく、店の参加・登録は無料。

 さらにこのやり取りはオープンで、ユーザーなら誰でも閲覧可能。同じようなニーズや悩みを持つ人の参考にもなり、店にとっては店の宣伝にもなる。またここで話題になったアイテムやトピックを記事化し、オウンドメディア「スタイラーマグ」に掲載し、他メディアと提携し、配信している。

 参加店は11月末現在で90。ウォークインクローゼット代官山、フリーダムフロムコモンセンス、ファブフォーなど首都圏や関西圏の個店・ブランドショップ、ジャーナルスタンダード表参道やフーズフーギャラリールミネエスト新宿など大手チェーン店など。

 特にここに来て、大手チェーン企業が旗艦店での導入に関心を寄せている。チェーン店の旗艦店は、全国でもトップクラスの商品、スタッフが揃うが、路面立地のため、平日昼間の集客に課題を抱えていることが多い。アプリ上で店や商品の露出を増やせば、店に人を呼び込むことができ、販売員のモチベーション向上につながる可能性もある。

 スタイラーは15年3月設立。アマゾンで事業開発を経験した小関翼社長が創業した。7月にティザーサイトをオープンし、70店が参加し、累計2万人が利用した。アプリとなったことで他ユーザーのポストのブックマーク機能、プッシュ通知機能が加わった。

 

 

【参加店舗例】
アQ/amplamp/aroy/CONTE-NU/DAILY SHOP/CLASKA Gallery & Shop "DO" /Eight Hundred
Ships/Euphonica/FAB4/FREEDOM FROM COMMONSENSE/F.S.Z/hallelu/HOSU/JOURNAL
STANDARD 表参道/Milok/LINKS/OUTPUT/ovie studio/ROL/SEEK&FIND/SEPTIS/Shabby&
industrial/Styles/synapse natif/TALKING ABOUT THE ABSTRACTION/THE COMMON
TEMPO/UNCLE SAM/VARIOUS SHOP by OURET/Velista/WUNDER(五十音順)



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