バイオベンチャーのスパイバー(山形県鶴岡市)は、同社が開発した構造たんぱく質素材「ブリュード・プロテイン」(BP)の原料を量産するラヨン工場(タイ)の試運転を始める。
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このほど、BP原料の製造および生産技術開発を担う子会社、スパイバータイランドがタイのラヨン県イースタンシーボード工業団地内で建設を進めてきた同工場が完工した。ラヨン工場は、微生物発酵(ブリューイング)というプロセスでBP原料を生産する同社初の量産拠点となる。
同社によると「構造たんぱく質素材の発酵生産設備としては世界最大級」という。3月29日に開所式を開き、タイ、日本の両政府要人や関係者など約50人が出席した。試運転の後、21年中に商業生産を始める予定だ。
同工場ではBP原料をより効率的で、環境負荷が低い生産技術の開発および実証にも取り組む考え。さらに、今後は「たんぱく質素材の需要増加に伴い、世界各地で製造拠点の増設が見込まれる」と指摘。「中長期的にはラヨン工場をモデルに、他の工場への技術移転も視野に入れる」という。
一方、米国では昨秋、穀物メジャーの1社として知られるADM(米イリノイ州)との間でBP原料の量産について協業する契約を結んでいる。ADMによるプラントの稼働は「数年先になる」が、稼働により年間で数千トン規模の生産能力を保有することになる見込みだ。