インターネットテクノロジー事業のヴァシリー(東京、金山裕樹社長)は、ファッション商品データや画像の解析テクノロジーを高め、取引先を広げている。
ディープラーニングによる画像解析の技術を活用した新サービス「スナップ・バイ・アイコン」は、インスタグラマーのコーディネート商品を提携ECサイトから抽出、同一商品を確実に探し出して表示し、購買に結びつけて好評だ。KDDIが運営するECモール「ワウマ」にも、この技術が採用された。
スナップ・バイ・アイコンは、ファッションコーディネートアプリ「iQON」(アイコン)運用のために開発したAI(人工知能)を使っている。このAIの特徴は、アイコン利用者200万人が選んだ商品画像1200万点以上というビッグデータを機械にディープラーニングさせ、同一商品を探し出すレスポンス精度が高いこと。例えば、インスタグラマーがアップする写真と同一か、非常によく似たアイテムを探し当ててレコメンド表示する。
現在は色解析が普及し、一般的なECサイトは選んだ色の商品群をずらりと表示する。この場合、ユーザーが欲しいと思っているアイテム以外も薦めてしまうが、ヴァシリーの技術は「その人物が着ている商品とほぼ同様の商品」を検索・表示するため、最適な購入タイミングを逃さない。
ユーザー個々の嗜好(しこう)を学習していくことで、よりレスポンス精度も上がる。同システムを活用すれば「自動的に画像同士をひもづけ」するため、EC運営で人的な作業時間の削減にもつながるという。
先月、KDDIとKDDIコマースフォワードが運営するワウマに、この技術を導入した。新たなECモールとして新技術を入れ、先進性を訴求する狙いと見られる。金山社長は「ファッション関連に特化して、画像やデータ解析技術を開発してきたことで、技術支援が求められている。今後は当社の事業領域を“検索ワードにかからない、あるいはワードにすることが不可能な領域の課題解決”と掲げていく」と話す。