わた状のウールを編んだ生地
「スライバー」と呼ばれる、ウールのわたの束を編んだ生地のこと。最大の特徴は、膨らみがあるが、エアリーで軽いこと。柔らかく、暖かい。以前からミセスのコートで使われていたが、キャリア層で新鮮と受け止められ、広がり出したのが3年前。コートやジャケットなどアウターから始まり、昨年はプルオーバーやワンピースなど中衣料でも多く使われた。
スライバーとは、ウールのわたから糸を作る前の工程で、繊維を1本1本ほぐし、平行に揃えながら伸ばしたもの。ふわふわのひも風だ。ポリエステルなどの芯糸にスライバーを絡みつけたものを専用の機械で編むとされるが、詳しい製法はほとんど公開されていない。イタリア発祥で、マペル社やファーパイルイデア社が有名。
プレーンな無地の他に種類も多く、太さが異なったり、軽く撚りをかけたりしたスライバーを使った凹凸のあるボーダー柄、染め分けたスライバーを使ったチェック柄や迷彩柄、ネップやラメをわたの段階で混ぜ込んだタイプもある。
日本で流通する製品の大半がイタリア製の生地。専用機はパイル編みに近く、和歌山・高野口産地でも作れると推定されるが、機械を同素材専用にし、輸出を含め年間を通じて販売できなければ採算が合わないため、国内の商業ベースの生産は確認されていない。