「シンゴクズノ」はレザーの雑貨・ウェアとジュエリーを主力とするブランド。エキゾチックレザーを使ったハンドメイドのラグジュアリーなアイテムで、多くの富裕層や芸能人の顧客をつかんでいる。ブランド代表でハンドメイドデザイナーの葛野慎吾さんに今後の展望を聞いた。
自分で作りたい
10代のころから物作りが好きで、自分で服をカスタムしていたという葛野さん。既製品よりもオリジナルが好きで、財布やアクセサリーをオーダーすることも多かった。大人になると物作り熱はさらに高まり、職人の道を志すようになった。
最初は独学で革製品作りを学んだが限界を感じ、22歳で小さなアトリエに弟子入りした。腕を磨くうちに自身のブランドを持って、デザインから企画したいと考え、06年に25歳で独立した。
ハンドメイドの財布などををメインに販売し、しばらくして雑誌に取り上げられたことで事業が軌道に乗った。11年に開いたオーダーメイド主体の展示会も成功し、富裕層を中心に顧客が増えていった。
現在の販路はオーダーメイドと受注生産のみ。インスタグラムなどを見た客から、直接依頼を受けて取引している。
レザーグッズはワニ革の財布やスマートフォンケース、ベルトなど。俳優から依頼を受けた台本カバーなど、変わり種の仕事もあった。数十万円の商品もあり、人とかぶらない商品を求める客からの注文が絶えない。「ワニ革は富裕層人気が高い。丈夫で長く使えるのも魅力だ」と話す。
レザーウェアは協力先の職人が製作する。上品なテーラードジャケットから、ストリートテイストのひねりが利いたアイテムまで幅広い。
14年から始めたジュエリーは、鳥居のモチーフが特徴だ。リング、ネックレス、バングルなどがある。「市場にクロスのモチーフが多い中、日本ブランドらしい鳥居のアクセサリーがあったら面白いと思った」のがきっかけだ。技術の高い協力工場を通して、シルバー製で5万円のものから、ゴールド製にダイヤモンド入りで数百万円のものまで、予算と好みに応じて作る。
直営店も視野に
今の拠点は都内の事務所兼アトリエだが、受注が増えるにつれて手狭になってきた。規模を拡大し、アトリエを併設した直営店にステップアップしたいという。「職人が手作りする姿を見ながら買い物してもらいたい。商品の価値もより伝わるはず」。人員を増やして生産力を上げて、既製品の販売もしたい考えだ。
「やるからにはファッションの中心地で勝負したい」と、パリへ進出する目標もある。現地の有力店への卸や期間限定店などで認知度を上げ、将来的にはインバウンドが直営店へ買い物に来るサイクルができればと期待する。「自分の作った商品が世界中で認められるのが夢。もっとブランド力を高めていきたい」と意気込む。