「セッチュウ」は、10月末から始まったジャパンモビリティショー2023に出展したレクサスのブースでファッションディレクションを行った。
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レクサスの今回のテーマは「Pushing Boundaries」(限界を超えていこう)。そのイメージをセッチュウをデザインする桑田悟史が解釈して、「伝統と革新の調和」を切り口にした知的でエレガントなウェアを作った。23年のLVMHヤングファッションデザイナープライズに輝いた桑田の服が、日本の公の場に登場した。
レクサスの会場は、竹のルーバーを背景にしたモダンな空間に、竹を使った未来の電気自動車が並んだ。深刻化する放置竹林の竹材を有効活用したサステイナブル(持続可能)な取り組みだ。竹の伐採を地域に依頼することで雇用を生み、地域コミュニティーの活性化も狙う。
伝統と課題解決を目指すコンセプトは、ウェアにも反映されている。ラグジュアリーブランドなどの残布のほか、トヨタの工場から出たエアバッグを再利用した生地も使っている。
デザインは、セッチュウの定番をベースにした。帯状の身頃をボタンでつなげて体に沿うフォルムを作る折り紙ドレスは、ネックラインのボタンを外せば大きな襟に、結べばエレガントなホールターネックになる。エアバッグの生地を使ったパンツは、パーツ跡のような丸い模様が側章風に脇に並んでいる。
メンズのテーラードジャケットは、かすかな光沢が目を引く。シルクビスコースの糸を6重にしたセッチュウのオリジナルの高密度織物で仕立てている。
ウェアはモデル一人ひとりにぴったりフィットしていて美しい。桑田はまず、モデルをキャスティングし、それぞれを採寸して仕立てたという。既存のデザインを生かしながら、新しいイメージを表現する仕事には、「タイムレス、アーティザナル、ファンクショナリティー」といったセッチュウのブランドコンセプトが生きている。