【センケンコミュニティー】日本のファッションを世界に発信する「シブハラフェス」 キャットストリート中心に盛り上がり
10月19、20日、「シブヤハラジュクファッションフェスティバル」(シブハラフェス)が行われた。過去15回開催されてきた、渋谷エリアを中心にしたショップが参加するファッションのお祭り「シブフェス」がバージョンアップしたもので、今回から原宿エリアも本格的に巻き込んだ。東京コレクションの会期に合わせ、商業施設やキャットストリートなどの約250店で限定イベントが開かれた。渋谷・原宿エリアの各ショップでも店内パーティーや限定アイテムの販売、特別セールを実施。ファッションで渋谷と原宿の街を盛り上げようという取り組みをリポートする。
「ファッションの今」表現
会場は渋谷ハチ公前や、商業施設「渋谷キャスト」、神南エリア、キャットストリート、竹下通りなど渋谷・原宿のエリア全域。参加ショップの入り口にはバルーンが置かれ、来街者はそれを目印に店内イベントに参加するという流れだ。

ひときわ盛り上がっていたのは、キャットストリートの遊歩道に出店していた特設ショップだ。サステイナブル(持続可能)、エシカル、アップサイクル、バリアフリーといった「ファッションの今を表現する」というマーケットが開かれた。

なかでもユナイテッドアローズは四つのブースを出店。オンライン限定で販売している「ユナイテッド・クリエーションズ・041(オーフォアワン)・ウイズ・ユナイテッドアローズ」をリアルの場で初めて消費者に見せ、障害や病気で服選びに悩みを抱える人だけでなく、全ての人に向けてデザインした服をアピールした。このほかにも「当社のCSR(企業の社会的責任)活動を知ってほしい」と、グリーンダウンプロジェクトによるダウンの回収や、ピンクリボンキャンペーンの紹介、フェアトレードコーヒーや紅茶などを販売した。

ワンオーの〝トラストファッション〟(ファッションの信用)をテーマにしたブランド「イコーランド」は、環境に優しい「ボタニカルダイ」で染めた「ボタニカルTシャツ」を販売した。同社が〝信用タグ〟と呼ぶ長くて大きなタグをつけて売り、物作りに携わった一人ひとりの自筆署名を印刷したタグを付けて販売した。ボタニカルダイは、ジンジャー(白)、バナナ(黄色)、ビーツ(ピンク)、キウイ(カーキ)で染めている。

このほかにも、日本環境設計が古着からポリエステル原料を再生して作った洋服を販売したり、様々なクリエイターの私服やグッズが並ぶフリマイベント「うるさいふるぎや」が開かれた。


ハチ公もおめかし
渋谷・原宿エリアの各所で、「ファッションの街」をアピールする取り組みも行われた。ハチ公前や渋谷キャスト前には、『セブンティーン』専属モデルである久間田琳加さんを起用したシブハラフェスの巨大なメインビジュアルを設置、来街者にフォトスポットとして楽しんでもらった。渋谷のシンボルであるハチ公も、期間中は蝶ネクタイでおめかししていた。


キャットストリートのそばにある神宮通公園では、「イコーランド」が100枚のTシャツをインスタレーション展示。シップスなど八つのショップから寄付されたTシャツに、グラフィックデザイナーの河村康輔氏が「How much is FASHION?」のメッセージをプリントした。シブハラフェス終了後にはオンラインストアでゼロ円で販売し、すぐに完売したようだ。

明治通りとキャットストリートの交差地点にある渋谷キャストには、ファッション・フード・ミュージックが集うエンターテインメントエリアを開設した。ベイクルーズグループが全体をプロデュースし、モダンのカフェや国内の実力派DJが会場を盛り上げた。

来年3月が本番
シブハラフェスは、シブヤハラジュクファッションフェスティバル実行委員会(実行委員長は三宅正彦日本ファッション・ウィーク推進機構理事長)が開催した。副委員長は八木原保原宿神宮前商店会会長と飯島薫日本ショッピングセンター協会理事が務め、統括プロデューサーはワンオーの松井智則社長。三宅実行委員長によると、来年3月を本番と位置付けており、今後も年2回、ファッションウィークのある10月と3月に継続して開くという。業界自身が変わりつつある姿を消費者に訴えながら、ファッションの力と街の魅力を重ね合わせ、新たな東京ファッションを世界に打ち出していく。


(繊研新聞本紙19年11月1日付)