日本を代表する技術を途絶えさせていはいけない――紡績・ニットメーカーの佐藤繊維(山形県寒河江市)は、今春倒産したトーションレース・ブレードメーカーのカツミ産業(大阪府堺市)の事業を引き継ぎ、新会社クマムレースをスタートした。特殊なレースもストックし、1メートルから販売する。発注ロットのハードルを下げ、「デザイナーや個人作家も、今までにない物作りを国内で挑戦できるようにしたい」(佐藤正樹社長)と話す。
(橋口侑佳)
カツミ産業は77年創業。トーションレース、経編ブレード機によるブレード・レースを企画開発から一貫する珍しい企業だ。特に、本来ならレース機にかからない細さ・太さ、毛羽のある糸にも対応できる技術は「世界的に特殊」。ダブルカバーリング機と特殊リリヤーン機を備え、糸加工もしてきた。意匠糸を多数使った独自性の高い商品に定評があり、佐藤繊維もオリジナルブランドで愛用してきた。佐藤繊維は大阪の社屋と設備、5人の従業員をそのまま継承、9月からグループ会社として運営している。