子供が集まれる場所を作り、地元のコミュニティーを創出している会社がある。岐阜市のプリント加工会社、坂口捺染だ。21年に同社の敷地内に駄菓子屋をオープン。子供たちが学校帰りに気軽に立ち寄れる居場所として人気だ。子供・親同士、そして従業員や社長とのコミュニケーションが生まれている。今では子供から「社長!」と呼ばれるほどの関係ができ、親が「ここで働きたい」と就職したケースもあるという。
(小坂麻里子)
考える力をつける場所
ガムやキャンディー、スナックなど菓子のほかスライムや風船などの玩具が並ぶ。子供たちは金額シートに記入しながら選び、従業員を呼び会計する。「お金の計算が身に着き、考える力をつける場所」だと坂口輝光社長は言う。親がついでに買えるようペンやノートなどの文房具、体操服も揃える。来店はかなり多く、1年目は1000万円を売り上げ、2年目は1500万円ほどの見込みだ。
「駄菓子屋は普段は無人。誰もいないため万引きという悪知恵が働くかもしれない。その好奇心や罪悪感、後悔の気持ちが子供を成長させる」とも話す。オープンから1年半以上経過した今では子供から親しまれる関係が出来上がった。