「サカイ」は、メンズの21年春夏と、レディスの21年プレスプリングコレクションのショートムービーをユーチューブで発表した。ファッションショーの舞台裏をほうふつさせる空間で、行き来するモデルをカメラが追う趣向。新作を着たモデルと演奏するバンドを中心に、サカイのクリエイションを支える人々も随所に登場する。
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テーマは「ラブオーバールールズ」。米国のコンセプチュアルアーティストのハンク・ウィリス・トーマスによる同名のアートワークを着想源にした。平和・愛・団結といった思想が背景にある。人種や文化、セクシャリティーなどの既成概念に抗(あらが)ってきた人々からインスピレーションを受けている。
ここ数シーズン、サカイの服はシンプルな傾向だったが、新作は複雑なミックス感がある。特徴はパッチワーク。以前も使ったハワイアンシャツ「レインスプーナー」や「ペンドルトン」のプリント地をはじめ、定番のトレンチコートやスーツ、MA-1の生地、シフォンなどの透ける生地をパッチワークした。ハンク・ウィリスの作品に見られるグラフィックパッチワークのパターンを反映させた。クラシックでなじみのある形を切り取って、予想外のものと組み合わせるというブランドのDNAを新たな視点で掘り下げた。
メンズは、MA-1のディテールやスポーティーなドローストリングトリムを組み合わせたテーラードコートなどを出した。ブルゾンにカーディガンを重ねたレイヤードスタイル、ストライプ柄のライナーが外側に露出するコートジャケットなど、様々な手法で色柄を重ねる。
レディスのドレスやセットアップは、トレンチ地とシフォンなどをグラフィカルにパッチワークしたシャープなデザイン。横長の生地を縦横にパッチワークしたり、トレンチやMA-1のパーツをはぎ合わせたり。スラッシュを入れた胸元やアシンメトリーな裾がセンシュアルなムードをプラスする。柄いっぱいのパッチワークドレスも、黒やベージュを基調にしてクールに仕上げた。パーソナルな視点やリアルスタイルを表現するために、「ナイキ」のレギンスや「APC」のデニムパンツとコーディネートした。