東京・渋谷駅直結の大型複合施設、渋谷マークシティ(和田博之社長)は19年度(20年3月期)に本格着手した「日常性」をコンセプトにした大型改装が22年2月に完了することを踏まえ、新たなブランディング戦略を開始した。施設として初めてアイコンとなるマスコットキャラクターを作り、11月20日から12月25日のクリスマスキャンペーンに起用している。渋谷駅周辺の大型開発が進む中で、「埋もれがちな施設のブランド力の発信を強める」(野口雄二郎常務取締役営業部長)のが狙い。周辺の開発がさらに進み、次の大型改装時期となる「25年も見据えた」という。
(有井学)
キャラクターは2匹の犬で、「マーク君」と「シティ君」。犬にしたのは「親しみがあり、施設のコンセプトに合致したことに加え、マークシティが商業、オフィス、ホテルと〝ワン〟セットであることにちなんだ」という。11月20日から、クリスマスツリーの装飾も含め、館内に掲出しているほか、「テナントともつながるアイコン」として、ぬいぐるみを各店に配布し、店頭などに飾っている。クリスマスキャンペーン終了後も露出を増やし、「待ち合わせスポットも作りたい」という。
同施設は20年4月に開業20周年となったのを機に、運営ビジョン「街のプラットフォームへ」を掲げ、「渋谷で働く全ての人たちにとってより使い勝手が良い施設」を目指している。
大型改装は全店舗面積の約7割を刷新し、ビジネスシーンを含めた日常需要に対応した衣料・雑貨のほか、飲食・食物販を拡充。7月10日に東急百貨店運営の食物販「渋谷東急フードショー」(地下1階、地上1階)がグランドオープンした。フードショーは「ほぼ予定通りの売り上げ」で、春に導入した生活雑貨「ダイソー」は「当初計画を超えるペース」。これらの結果、全館売上高は19年同月比で8月が26.8%減、9月が17%減、10月が5.1%減、11月が4.9%減と健闘。前年同月比では8月が前年に大型休業区画があったため、2倍以上で、9月以降は2ケタ増ペースだ。
来年2月11日に京王井の頭線改札口近くの「一等地」に「日常性」をテーマにした飲食店を導入し、大型改装が完了する。開業25周年となる25年までに駅周辺に新施設も開発され、「環境が大きく変わる」ことから、「今回の改装がニーズの変化に対応できたかどうかを検証した上で、MDを修正することも検討」する。