ネットのブランドリセール「リクロ」 事業を拡大中

2019/03/11 10:59 更新


 ネットのブランドリセール「リクロ」を手掛けるアクティブソナー(東京、青木康時社長)が事業を拡大中だ。委託販売プラットフォーム「リクロ」の受託量は月を追うごとに増え、月間1万点以上に達した。事業成長のカギとなる商品の収集と販売を、三越伊勢丹やバイマ、楽天、タオバオなど外部サイトとの連携を通じて補完したのが勢いの背景だ。

(永松浩介)

海外販売は40%近く

 売上高は非公表だが、右肩上がり。日本国内での鑑定・整備を意味する「チェックド・イン・ジャパン」が評価され、アジアを中心に海外での販売比率は40%近い。平均単価は約3万円。

 14年4月にサービスを開始。ちょうどその頃、メルカリなどフリマアプリが国内外で続々現れ、個人間取引の拡大にビジネスの可能性を感じていた。自らも国内外のサービスを色々試してみたが、「安全・安心」に不安を感じた。個人間の取引には真贋(しんがん)問題が常に付きまとうため、「CとCの間に、目利きや整備のB(プロ)を挟んで安心を担保しようと思った」と話す。

 中古品を買い取って販売する類似業態はあるが、同社は仲介が中心で、現在、国内では競合はいないという(買い取りも一部あり)。廉価な商品は基本的に扱わず、相対的に高いブランド品を高回転で販売しているのが特徴だ。

 もっとも、立ち上げ当初は苦戦した。委託販売ビジネスは、商品収集と販売の両輪を同時に増やし、プラットフォームを大きくしないと好循環を生めない。双方のユーザーに広告を打たなければならず、マーケティング費用もかさむ。「競合他社は消えたし、我々も1年間は苦しんだ」と振り返る。

 1年ほど自力で踏ん張ったが、自社だけでの営業という戦略を変え、商品収集と販売の両面で外部と提携する方法にかじを切った。商品仕入れという「入り口」と販売という「出口」のそれぞれのチャネルを外部に開放し、「プライドを捨てて、実利を取りにいった」。半年ほどでバイマや三越伊勢丹との取り組みが決まった。

 知名度のないベンチャー企業が大手と短期間で提携できたのには理由がある。

 「ゾゾタウン」と「ゾゾ・ユーズド」の関係のように、顧客が自らの所有物を有料で手放し、その売上金で再び新品を買うというエコサイクルは、大手にとっても魅力的。しかし、自ら事業を立ち上げたり、サービス提供会社を買収したりすることは経営上のハードルが高いため、同社の提案が喜ばれたようだ。

青木康時社長

様々な提携パターン

 提携のパターンは様々。名前を出さずに黒衣に徹しリクロの仕組みを使ってもらうケースもあれば、バイ・リクロと名前を出す場合も。提携している商品収集チャネルは、上記以外にオムニ7(セブン&アイ)やディノスなど。販売チャネルは、アマゾン、ヤフー、海外ではウィチャット、VIPプラザなど。国内外の提携先とはAPI(ソフトウェア同士の連携)で在庫を連携、世界約200カ国で併売している。

 グローバル展開のメリットは大きい。シーズンに関係なく販売できるからだ。「ユーザーが売りたい時は最もそれが要らない時。例えば、着終わった冬のコートは春には売れないが、南半球では売れる可能性は高い」

 実際、出品後1カ月以内で約60%が売れ、「中古のリセールの他社に比べ3倍早い」。80%の商品が3カ月以内に消化するという。販売価格をオープンにしているため、買いたたかれることもなく、返金率も最大で90%と高い。「これまでブラックボックスだったものを透明にすることで安心して預けてもらえる」

♢データサービスで新たなビジネスの芽♢

 多くの査定を繰り返すことで新しいビジネスの芽も出てきた。昨年10月からバイマと始めた「ソク割」は、ユーザーの購入履歴から購入品の換金価値をはじき、新しい商品購入時にその分を割り引くサービスだ。ユーザーは、新たに購入した後に下取りアイテムを送るだけ。「購入者のクローゼットを可視化するデータサービスで、非常にいい利用のされ方をしている」

 中古ブランド品の価値を査定しデータを蓄積しているため、今後はブランドに対し、価格グラフなどデータの販売を通じ、製品開発での活用を促したい考えだ。「データを蓄積するのが企業価値」と青木社長は話す。三越伊勢丹や伊藤忠商事のグループ会社が株主として名を連ね、将来はIPO(新規株式上場)も視野に入れている。



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