4月1日から商品価格の総額表示が義務付けられ、値札やチラシにおける値段が消費税額を含めた価格で表示されるように統一される。生活者起点のリサーチ&マーケティング支援を行うネオマーケティング(東京)は、全国20歳以上の男女を対象に「総額表示義務化」をテーマにインターネットリサーチを実施した。生活者にとって税込みか税抜きかの価格表記に惑わされなくなるメリットの一方で、大手アパレル企業が商品価格を下げるなど、生活者の買い控えを懸念する店舗側の声も聞こえる。
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調査は同社のアンケートサイト「アイリサーチ」を活用したウェブアンケートで3月19~22日、普段買い物をする20歳以上の男女1000人を対象に行った。
「総額表示義務化による価格への印象」は、男性の約4割、女性の約5割が義務化前に比べて「価格を高く感じる可能性がある」と答えた。国税庁の発表によると、支払い総額さえ表記されていればよく、いくつかの例が示されており、それに沿って「生活者が望む金額表記」の例として、「1万1000円(税込み)」と回答した人が5割以上いた。生活者が価格表記によって受ける印象を考慮しても、店舗側にデメリットが少なく生活者が求める金額表記の方法と結論付けている。
総額表示に統一されることについて、「知っていた」が71.8%。買い物時の「税抜き」と「税込み」を意識しているかでは、「かなり意識している」23.8%、「意識している」45.8%で、合計で69.6%の人が意識しているという結果が出た。
税抜き表記で会計時に想定よりも高く感じた経験は、「よくある」27.9%、「たまにある」47.5%。男女別では「よくある/たまにある」の合計で男性70.6%、女性80.2%。税抜きと税込みを普段意識しているとはいえ、多くの人が税抜きの金額表記によって、実際に支払う金額を低く見積もった経験があるようだ。税抜きと税込みの価格表記が混在することへの印象は、「紛らわしいと思う」58.1%、「たまに紛らわしいと思う」30.7%と、合計88.8%が紛らわしく感じることがあると答えた。
総額表示に対する意見では「賛成」が84.6%と好意的に受け止めている。総額表示の義務化によって、普段購入している同じ商品について義務化前に比べて価格が高いと感じる可能性について、「当てはまる」14.9%、「やや当てはまる」32.4%。男女別では「当てはまる/やや当てはまる」が男性41.4%、女性53.2%と、義務化前に比べて価格を高く感じる可能性があると答えた。
総額表示義務化による買い控えの可能性については、「当てはまる」5.8%、「やや当てはまる」16.6%。男女別では「当てはまる/やや当てはまる」が男性20.6%、女性24.2%。これまで税抜き表記されていた商品は表記金額が上がる可能性があり、普段購入している商品について「買い控える」可能性は、男女とも約2割にとどまった。