24~25年秋冬パリ・ファッションウィーク 10年のクリエイションを再考

2024/03/08 07:59 更新有料会員限定


 【パリ=小笠原拓郎、青木規子】24~25年秋冬パリ・ファッションウィークは前シーズンに続き、スタンダードなアウターが充実した。特に目立ったのはトレンチコートやステンカラーコート。ベージュのギャバジンで仕立てた基本スタイルを、フォルムやディテールを変えて進化させている。たっぷりとした量感のテーラードコートやMA-1も多い。

【関連記事】24~25年秋冬パリ・ファッションウィーク ドービルのロマンティックなストーリー

 ルイ・ヴィトンは、ニコラ・ジェスキエールのアーティスティックディレクター就任10周年を記念して、ルーブル美術館にテントを張って4000人を集めたメガショーを開催した。四角いスケルトンのテントの中央には巨大な電飾の球体。その輝きの中でスタートを待つ。上空にはドローンが飛び、サーチライトで会場を照らす。

 いかにもジェスキエールらしいラインが充実する。スタンドカラーのブルゾンとふんわり膨らむミニスカート、フロントファスナーがゆがんでコンラストを作るバイカラーミニドレス、透ける素材にスパンコールを刺繍したドレス。スキーブルゾンのようなスポーティーなアイテムと手仕事のアイテムが交錯する。大きなトランクの柄をのせたミニドレスは、ルイ・ヴィトンのアイコン的なイメージだ。

ルイ・ヴィトン

 ペプラムジャケットはボンディングのムースと呼ばれる素材で、ジェスキエールが得意としていたテクニックを生かしたもの。MA-1タイプのブルゾンやそれと合わせるパンツにはスクラッチのようなひっかき傷が散りばめられる。立体的なラメ刺繍でトリミングしたジャケットなどラグジュアリーなラインと、変形のライディングコートのスポーティーでアクティブなアイテムの配置。それは、ジェスキエールの10年間のクリエイションへの内省的な探求。

ルイ・ヴィトン
ルイ・ヴィトン

 ザ・ロウはかつてのオートクチュールサロンに見立てたショーを開催した。ショールームの各部屋にはそれぞれビンテージのついたてが置かれ、ライティングもほぼ自然光のみという演出。カメラマンは入れず、来場者も携帯での撮影禁止をあらかじめ伝えられる。かつてのクチュールサロンのように、服と人がデジタルツールを介さずに直接、共感できるようにという意図があったようだ。今シーズンは手仕事の技術を生かしたラインにオリエンタルな要素を取り入れた。上質なスタイルにシルバーチャームを飾った帽子でエスニックを取り入れる。ジェンダーフルイドな提案も多いブランドだが、ドレススタイルを充実させて女性らしさを強調している。

この記事は有料会員限定記事です。繊研電子版をご契約すると続きを読むことができます。

ログイン契約して読む

会員の方はこちらからログイン

関連キーワード電子版購読者限定



この記事に関連する記事