ファッション物流をコアにするオーティーエス(東京、田中優一郎社長)は、テキスタイルプリント事業「オー・パースペクティブ」を強化している。コーニット製の最新インクジェットプリンター2台を導入し、2022年に新規事業としてスタート、幅広い素材に対応した生産ノウハウを積み上げてきた。特に無地やデニムの濃色にもプリントできるのが強みで、こうしたプリンターのポテンシャルを引き出す現場力と企画営業で新たな価値を提供していく。
コーニット製プリンター2台を活用
オー・パースペクティブ事業はコーニット製インクジェットプリンター「プレスト」を活用し、プリント受注や生地販売、これらを活用した製品OEM(相手先ブランドによる生産)などを展開している。コーニットは顔料インクを使ったプリンターで世界をリードし、サステイナブルの流れが強まる中でグローバルに注目を集めている。染料インクを使う一般的なインクジェットプリンターでは生地の種類に応じたインクの使い分けが必要だが、顔料インクは1種類であらゆる素材に対応するため、汎用性が高く、近年増えている綿・ポリエステル混のような混紡・交織・交編された複合素材でもプリントが可能だ。
生産プロセスも染料の場合はプリント後に仮乾燥し、スチーム処理による染料の生地への定着、余分なインクを洗い流す水洗、乾燥という長いプロセスがかかり、専用の処理設備や大がかりな廃水処理設備などが必要になる。これに対し、顔料プリントは出力後は乾燥だけで済むため、コンパクトな設備で行え、水やエネルギーの使用を大幅に抑えることで環境負荷も軽減できる。コーニットは顔料インクそのものの開発・改良も進んでおり、通常の顔料では課題の多い風合いの柔らかさや、黒色の深みも持ち合せる。

ビンテージ人気で注目、かすれ具合いもリアルに
オーティーエスはプレスト2台を和光プリントセンター(埼玉県和光市)に導入、顔料インクの強みを生かした開発を強化してきた。営業を担当する小川耕平セールス担当は「最近、ビンテージ人気もあってプリントの依頼が増えている。オー・パースペクティブはかすれ具合いも忠実に再現でき、こうしたニーズに的確に応えられる」と話す。また、単なるプリント受注にとどまらないサポート力も強み。小川さんはアパレル企画で10年以上の経験があり、この経験も生かして時には「この製品を作るなら、プリントデザインを変えた方が…」とアドバイスするなど、最終製品の仕上がりをイメージしながら客先と一緒に作り込んでいく。オーティーエスは協力縫製工場のネットワークも持っており、プリント生地を使った製品作りまで対応可能だ。
濃色生地へのプリントで高級感
2台あるコーニットプリンターのうち1台は、希少な白インクを搭載した「プレスト・マックスS」だ。白顔料インクは黒や紺をはじめとした無地染め生地の上に白い柄を描くことが出来る。さらに白の上にカラーインクを載せれば、下地の色に影響されずにカラフルなデザインが表現できるのが大きな特徴だ。これまでの方式では、P下と呼ばれるプリント下地は白無地が基本だった。だが白顔料インクを活用することで、デニムのような濃色生地、合成皮革などにも柄を乗せることが出来、デザインの可能性を大きく広げてくれる。通常の白地のP下を使った場合はプリントしていない裏側は白くなるが、無地染めの下地だと裏側も色が入っているため、「安っぽく見えない」とアパレル企業に好評だ。プレストの白顔料インクは、積層することで立体にすることも出来る。これによって刺繍調のプリントも可能で、これらの特徴を生かし、デザインの可能性を追求している。

ノウハウ積み、生地選びからサポート
オーティーエスでは他社に先駆けてプレストを導入したことで、現場の対応力も一歩先を行く。和光プリントセンターでは白顔料インクを使ったプリントなどプレストのノウハウを積み上げているが、例えばインクの柔らかな風合いを生かし、裏毛スウェット、ニットなどとの相性の良さをアピールする。また、毛羽があるような、通常はインクジェットが苦手とする素材でもうまくこなし、高精細な柄を表現する。逆に、素材によっては相性の悪いものなども経験値として蓄積しているため、生地選びからアドバイスしながら付加価値の高いアパレルの物作りに貢献している。
和光プリントセンターは最寄りの和光市駅まで東京都心から30分強で来れる距離。この利便性もアピールし、プリント現場の見学や、急ぎのオーダーに対するクイックな対応なども柔軟に行っている。

デザインの可能性を広げるオーティーエスが提案するオー・パースペクティブ事業
URL:https://www.e-ots.jp/o-perspective/
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企業名 : 株式会社オーティエス
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