オンワード樫山 独自開発技術プロジェクト始動

2018/06/14 06:28 更新


 オンワード樫山は13日、独自開発技術プロジェクト「アドバンスドシステム」の事業構想を発表した。18年秋から特許取得による新構造の高機能ダウン「アドバンスドダウンシステム」(ADS)をブランド化して販売する。

 大澤道雄社長は「ファッショントレンドからブランドを誕生させるのではなく、メーカーとして長年培ってきた独自の〝開発技術のプラットフォーム〟を最大限生かして、そのイノベーション自体を事業化する」と強調。「30代など若い顧客の拡大と、百貨店やECの既存分野に加えてセレクトショップなどへの販路拡大、欧米での直営店展開や卸販売など新市場を開拓する」構えだ。

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 同事業の初年度の販売は数量で6万点、売上高で25億円を計画し「2、3年後の早期に100億円規模に拡大する。海外ブランドとの開発技術特許のライセンス契約も視野に入れる」。

 今秋冬から本格的な販売がスタートするADSは、特許取得の新構造で、特殊テープをキルトステッチの代わりに用いた〝ストレスレスの高機能ダウン〟。機能特性としては①特殊構造で衣料内部を空気が循環し、空気量がアップするので、生地が薄くても高い保温性を持つ②針穴が少ないためダウンが吹き出しにくい③羽毛を仕切るステッチが無いのでデザインの自由度が高い--などがある。「デザインの自由度が高く、ファッションの選択肢を広げることを可能にする。高付加価値商品のニーズの高まりに対応する」(樋口剛宏執行役員宣伝・マーケティング室長)としている。

ADSのコート
ADSのメンズコート

 アドバンスドシステムは「テック(オンワード独自の先進テクノロジー)」「タレント(社内外のデザイナー、パタンナーによるクラフトマンシップ)」「ミキサビリティ(ユーザーによる着こなしの自由)」の三つの要素を事業コンセプトの根幹に据えて、幅広い商品構成とブランディングで販売する方針。

 今秋からは「スタンダード」「ニュージェネレイション」の2ラインでスタートする。スタンダードは自社NBで構成するライン。レディス11ブランド、メンズ6ブランドで展開。NBショップ、オンワード・クローゼット、期間限定店で販売する。また、バレエ・ダンス用品の総合メーカー、チャコットでも商品化して販売する。商品の平均単価は5万円台に設定する。

 一方、ニュージェネレイションは、外部デザイナーや社内で公募したデザイナーを起用し、30代を中心とした顧客層を開拓するデザイン性の高いラインとする。今秋冬はデザイナーの中島篤と江角泰俊による6デザイン、社内公募による10デザインに、服飾雑貨を加えた商品を揃える。

 オンワードグループのグローバルネットワークを活用して北米や欧州市場での販路拡大を狙う。オンワード・クローゼットをはじめとするECサイトやセレクトショップ向けの卸販売で売り上げを拡大する。商品単価は8万円台後半。19年秋には「プレミアム」ラインとして著名デザイナー・クリエイターとの協業企画を計画している。

右2人目から江角泰俊デザイナー、大澤道雄社長、樋口剛宏執行役員、中島篤デザイナー


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