OEM・ODM(相手先ブランドによる設計・生産)のオーダー・オブ・メリット・プランニング(OMP、東京)は、生産リードタイムの短縮を目的にしたプラットフォーム「OMP・SUIBARA・SYSTEM」(スイバラ・システム)を開発した。同社の水原工場(新潟県阿賀野市)や、いわき工場(福島県いわき市)、遼寧工場(中国・遼寧省)といった国内外の自社工場と取引先の間で、デジタル技術を活用して情報を共有・可視化し、「確認作業など生産を中断させる要因を解消することで縫製工場の課題である時短を推進する」(宮崎守社長)と話す。
(近藤康弘)
昨年から導入を始めた3D・CAD(コンピューターによる設計)でサンプルデータやミシンデータ、縫製仕様書、工程分析表、工業用パターン、コメント表などをデジタルデータで提供する「コネクテッドシステム」の整備が完了したのを受け、商社やアパレルメーカーなど取引先とも情報を共有・可視化するのがスイバラ・システムの仕組み。
水原工場のアトリエと取引先の企画室をつないだパソコンとカメラで、サンプルのパターンの細部に及ぶ打ち合わせや修正ができる。遠距離でもリアルタイムに打ち合わせでき、物を移動させると数日かかっていた確認作業の時間を大幅に短縮、生産の効率化が期待できる。
工場にはJUKIのフルデジタルミシン「DDL‐9000C」を配置、実装統合システムソフトウェアの「JaNets」も入れた。東レACSのパターン作成ソフトなどを導入し、工場のスマートファクトリー化を進めてきた。
宮崎社長は「ファッションビジネスの大量生産・大量消費が問われるなかで、縫製工場も変化が求められている」として、取引先にもメリットがあるシステムへの参画を求める。ドメスティックブランドや小ロットを扱う若手デザイナーなどからは特に関心が高いという。5G(第5世代移動通信システム)が始まれば、ウェアラブルカメラによる作業や海外とのやり取りでもスピードアップが見込める。