オムニチャネル進捗を読む⑧ 店舗送客につながる運営

2018/01/05 06:00 更新


本格運用後、ユーザー数、売り上げが大きく伸びた「エテオンラインストア」

《連載 オムニチャネル進捗を読む 16年度ECアンケートから⑧》雑貨EC 店舗送客につながる運営

 雑貨企業では、ジュエリー・アクセサリーなどサイズフリーのアイテムでECが伸びている。EC購入が日常化しつつあるなか、サイトの利便性と実店舗への送客意識を強めている。

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大きな伸びしろ

 アクセサリー、ジュエリー製造小売りのミルクは15年12月、EC事業部を設立した。ネット販売の本格化で16年12月期のネット売上高を73.3%増の8億1300万円と伸ばした。

 同社は08年に自社ECサイトを開設。その後ゾゾタウンにも出店したが、しばらくは実店舗を優先する態勢だった。しかし、ネット購入が日常化してきたことに加え、店頭で客がスマートフォン画面を見せて買いたい商品を指定する事例が増え、ECと実店舗販売が相乗効果を生むと確信、専門の事業部を立ち上げた。

 7人の専任体制で、主力のジュエリー「エテ」とアクセサリーの「ジュエッテ」の自社サイトとゾゾタウン店、それぞれに店長を配置し、実店舗同様に仕入れや顧客管理、情報発信を行う。ECは売れ筋へのオーダーが集中するため、1型当たりの数量を多く持つなど独自のMDを心がける。事業部立ち上げと同時に、カートシステムの改善やポイント共通化など利便性を高め、SNS(交流サイト)との連動も強めた。

 8月からは自社サイトでの特集ページや動画配信など、コンテンツ作りを開始。アプリも開発し、ダウンロード数はひと月で7万人を超えた。アプリを含め、ネットユーザーの購買行動の収集、分析、予測などは今月から本格的に始めたばかり。接客や物流での課題もあり、まだ伸びしろを多く残している。

きめ細かく誘致

 17年2月期の連結売上高28億6900万円(前期比47.6%増)のうち、EC比率が52%(49.9%増)と大きく占めるのは、レディスバッグ、小物などの製造小売り、スタジオアタオ(神戸市)。

 同社の会社設立は05年。ECが飛躍的に伸びたのは09年の夏からで、その年の12月に初めてECの月商が1000万円を超えた。この頃全国の百貨店で期間限定店を始め、店頭の顧客も一気に増加。09年5月にはデジサーチアンドアドバタイジングと「アタオ」ブランドでECに関する共同を開始したことも、その後の伸びに貢献している。

 ビジネスモデルの特徴は「回遊型売り上げ拡大モデル」。店舗や期間限定店のリアルで仕掛け、接点を持った顧客をネットに誘導、購買につなげる。店舗の販売スタッフは販売だけでなく商品企画、ブログ、SNSでの発信もする。こうした日常のきめ細かな努力が強さになっている。

 前期は「アタオ」ブランドの10周年で記念商品のヒットもあり、売り上げを上積みした。以前より需要予測の精度が上がり、作り込む量を増やし、機会ロスを減らしたことも増収の要因となっている。



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