西川(東京、西川八一行社長)が11月からスタートした羽毛キャンペーンのキャッチフレーズは「おひさまの羽毛」だ。そこには同社の羽毛に対するこだわりが表現されている。クリーンなエネルギーとより羽毛を極める技術力。羽毛ふとん開発に携わるマーケティング戦略部企画・開発担当の藤本秀人さんに話を聞いた。
●四つの「クリーン」
――「おひさまの羽毛」という言葉にはどんな思いが。
羽毛ふとんは今やコモディティ化していいます。価格優先になっている市場に対して、弊社としては羽毛の持つ本当の価値、そして高付加価値商品であることを多くのお客様に知っていただきたい。ダウンの精毛の過程で私たちがこれまで取り組んできたこと、そしてこれからも追求していくことを明確にしました。クリーンなエネルギー、クリーンな環境、クリーンなダウン、さらにクリーンで公正なサプライチェーンによって羽毛ふとんを送り出す。そのクリーンを総称して私たちは「おひさまの羽毛」と名付けました。
――羽毛ふとんの製造工程は100%太陽光発電で賄っている。
お客様はエシカル消費の傾向が強くなってきました。企業は環境に配慮し、そして安全・安心な商品をご提供しなければなりません。その上で上質で、お客様に喜んでいただくことを何よりも大事にしています。CO2排出を最低限に抑えていくことは企業としての責任でもあります。太陽(=おひさま)のクリーンなエネルギーで製造していくことで、地球環境的にも貢献する商品であると自信を持っています。
――羽毛は西川こだわりの「フレッシュアップ加工®」で製造している
原料の段階でダウンは圧縮された状態です。「フレッシュアップ加工®」とは一つひとつのダウンを開かせて、本来のダウンのパワーを出していけるような精毛工程です。選別した羽毛に「加湿乾燥」と「冷却除塵」を施し、さらに「通し選別」することよって羽毛本来の力を引き出し、よりクリーンな羽毛に仕上げていきます。これも含めて精毛工程においては、ダウンに付着しているゴミや不純物を落としていく除塵を5回も繰り返します。プラズマクラスターシステムを導入しクリーンな環境の中で選別され、最終的に厳しい品質検査を経たダウンだけを側生地に充填していきます。
――これによって保温力やふっくら感が長持ちする羽毛ふとんが生まれる。
暖かさや軽さ、ふっくら感などを主要な機能として生産しています。羽毛ふとんは中の羽毛をみることはできません。弊社の商品をお買い上げいただくポイントは、西川というブランドに対しての品質の信頼、安心、安全です。上質、良質の羽毛を使わなければ、ブランドの価値を認めてはいただけないでしょう。
●総合満足度で10冠達成
――日本マーケティング機構(東京)の調査で、羽毛ふとんでは総合満足度No.1を獲得しました。
寝具メーカー上位10社における羽毛布団に関する満足度調査(日本マーケティングリサーチ機構)で10冠を達成しました。お客様の声がダイレクトに届いたことがとても嬉しい。
ふっくら感、耐久性、暖かさなど、昨年は7項目でトップでしたが、今年は「また買いたい」「人にすすめたいと思う」「耐久性がよい」が新たに評価されました。とくに「また買いたい」というのがとてもうれしい。買い替えの目安としては10年ですが、新しい商品をご購入されるタイミングでお選びいただけると期待しています。
――一方で、羽毛のリサイクルなどにも取り組んでいる。
弊社は全社を挙げてSDGs(持続可能な開発目標)に取り組んでいます。
選別で落ちたダウンは、羽毛ふとんにするのではなくて、別の用途に利用します。アップサイクルする仕組みで、さまざまな企業に利用していただいています。
今、お使いの羽毛ふとんをリフォームして差し上げるサービスも行っています。羽毛を取り出して、汚れを取り除き、きれいに洗って、ときには新しい羽毛をプラスして新しい側生地に充填します。本当に新品同様のふっくら感が甦ってきます。使わなくなった羽毛をリサイクルしていく仕組みづくりにも取り組んでいます。永久的にリサイクルする循環型のビジネスを確立していきたいと考えています。
――羽毛が誤解されているケースもある。
粗悪なダウンの流通などネガティブな要素があることも事実ですが、弊社はポーランドやハンガリーなど、良質な羽毛が採れる産地からダイレクトに仕入れており、そうした懸念のない仕組みを作りました。それが評価されて「J-TAS認定」を業界では初めて取得することができました。これは羽毛製品から羽毛原料調達産地までがトレースできて、消費者が安心して購入できる認証制度です。製品には「J-TASラベル」を付けて販売しています。
――「西川プレミアム・ゴア羽毛ふとん」を新たに発売した
この冬のおおすすめは「西川プレミアム・ゴア®羽毛ふとん」です。「おひさまの羽毛」を使用して、側生地に「ゴア寝装用ファブリックス」を採用したもので、ふとんの中にほこりやダニ、ハウスダストなどの侵入を防ぎます。一般的な側地に比べて30%も軽く、約1.3倍の透湿性があります。ふくらみを損なわず、優れた保温効果を発揮し、また湿気を発散するので蒸れにくく、快適な睡眠をとることができます。多くのお客様にお使いいただきたいと考えています。
――ありがとうございました。
・西川の羽毛ふとんがお客様の満足度調査で10冠達成。「総合満足度No.1」獲得。
2022年8月、日本マーケティングリサーチ機構が寝具メーカー売り上げ上位10社の羽毛ふとんに関する満足度調査で、「心地良さ」や「あたたかさ」、「耐久性がよい」「使用満足度」のほか、「買ってよかった」「人にすすめたい」など10項目でNo.1を獲得した。
・J-TAS認定
日本寝具寝装品協会(JBA)による羽毛のトレーサビリティー監査システム。羽毛ふとんの粗悪原料や品質の粗悪品が流通する現状の中で、羽毛産地、サプライチェーン、製品までがトレースできて、消費者が安心して購入する目安となる。認定商品には「J-TAS認定」のタグを商品に付与することができる。
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