「世界一のハンガー屋」に 中田工芸社長の中田修平さん

2023/03/15 11:00 更新


中田社長

 日本製の木製ハンガー主力の中田工芸(兵庫県豊岡市)が、高級ハンガーの自社ブランド「ナカタハンガー」で海外販路を広げ始めている。海外のパートナーを通じた情報発信と、SNSで訴求を強め、問い合わせが増加。今年に入り海外事業を推進する専門チームも組織した。海外の開拓を加速し、「世界一のハンガー屋」を目指す。

【関連記事】「ナカタハンガー」いざ、海外へ 「これが世界最高峰」

 海外販路が広がり始めた経緯を掘り下げると、同社がハンガーを「大切な洋服をケアし、保管するための道具」として位置付けたことがポイントになった。この考え方に強く共感したのが現在の海外パートナー。中国・香港の有力なメンズセレクトショップ「アーモリー」や、英ロンドンの洋品ケアグッズメーカー、アータートンだ。

 いずれもファッション感度が高く、高級スーツの需要があるエリアで、服のケア、保管にまでこだわりを持つ顧客を持つ。中田工芸のパートナーとして相性がよかった。それぞれが積極的にナカタハンガーを打ち出し、需要を生み出している。

 1月末にはアータートンの協力を得て、紳士服テーラーが軒を連ねるサビル・ローでナカタハンガーの展示や制作工程を紹介するイベントを実施。有名テーラーなど業界関係者200人に同社のクラフトマンシップを訴求した。「イベントをきっかけにサビル・ローのテーラーなど新規の問い合わせが舞い込んでいる」という。「世界を見渡しても、品質と芸術性を兼ね備えたハンガーを追求しているのはうちくらい」と強調。「服を大切にする人たちのこだわりに応えていきたい」と語った。

 なかた・しゅうへい 78年生まれ。米アリゾナ大学ビジネス学部を卒業後、ニューヨークで就職。07年に帰国し、中田工芸入社。17年に三代目社長に就任。19年には育休を取得するなど育児にも奮闘中。ロックやジャズのライブ鑑賞と海外旅行が趣味。

関連キーワードものづくり最前線



この記事に関連する記事

このカテゴリーでよく読まれている記事