シンデレラ整形(若月美奈)

2014/07/11 14:19 更新


サンダルやオープントウのハイヒールを美しく履くために足の指の骨を削る。そんな整形手術がイギリスで話題を呼んでいる。

アメリカでは何年か前から騒がれていたらしいが、一足遅れてイギリスに上陸。成功例だけではなく、聞いただけで痛くなってしまうような失敗例も報告されている。

デイリーメール紙は6月23日、ダブロイド版2ページに渡る特集記事を掲載。自分自身は美容整形などには興味のない人々にまで広く紹介されることになった。

 

 

その記事によると、一番多い例は、親指よりも長い第2指や第3指を短くするもの。骨を切断してワイヤーでつなぐため、杖を使わずに歩けるようになるのに3ヶ月、運動ができるようになるには半年かかるという。

何年か前には、ハイヒールを履く時に足が痛くならないように、足の裏のつま先立ちした時に床につく部分にシリコンを注入する手術が話題を呼んだ。シンデレラ整形はその上を行く大掛かりな手術である。そこまでするのか! 美を追求する女性たちの挑戦はエスカレートするばかり、である。

ちなみに、気になるお値段は両足の指2本ずつ、4本削った場合は4500ポンド(80万円弱)程度が相場らしい。高いんだか安いんだかわからない、なんとか手が届く価格が女性たちの決心を促しているようだ。

もっとも、そんなシンデレラ整形に対し、足の専門医団体は警告を発している。足の機能障害や痛み、さらには血栓など命に関わるトラブルが起こりうるというものだ。デイリーメールの記事にも、最初の手術に失敗して痛みがとれずに歩けなくなり、2回目の手術を行うが、指がまがらず結局ハイヒールが履けなくなったという例が紹介されている。

ここまで読み、改めて自分の足を見た人も多いのでは? そう、普段あまり意識していないが、美しいとされる足の指は親指から小指にかけて徐々に短くなっているもので、サンダルのつま先などもそんな形になっている。しかし、親指よりも第2指や第3指が長い人は意外に多い。

さて、自分の足は・・・と改めて見ると、多少外反母趾になってるようだが、指先は美しく斜めに傾斜している。しかし、実は大きな問題をかかえている。左右の足の長さが違うのだ。成長期に運動をしていたため、利き足である右足の方が成長し、なんと左より0.9センチ長いのである。壁にかかとをつけて立ち、上から足を眺めると、その違いは歴然としている。

左右違うサイズの靴を買うことができればなんて素敵なんだろうと思いながらも、そんなわけにはいかず、常に右足は小さめの靴で窮屈な思いをし、左足は時には脱げそうになるぎりぎりのところで履いている。若いころは右足にあわせて靴を買い、左にだけ中敷きを入れたりしていたが、いつの間にか足の方が慣れてそんなことをせずに大きめと小さめの靴で問題なく歩けるようになった。

左右違う足のサイズでは、素敵な思い出もある。ロンドンに住みはじめて間もないころ、はじめて入った靴屋で試着をした時のことだ。

「実は右足の方が9ミリ大きいので、左足はちょうどいいけれど右足はきつい。もう1サイズ大きなものを試したい」と伝えると、しばらくして店員さんが「これでどうかしら」と持って来た靴をなにげなく履いた時の驚きである。1サイズ大きな靴の左足につま先部分だけの中敷きが入れてあったのだ。パーフェクト!

結局そのまま中敷きも一緒に購入してロンドン第一号の靴を抱えて帰った。日本でも靴を買う時はいつでも左右の大きさが違うことを伝えていたが、こんな心遣いははじめて。さすが、家の中でも靴を履くの国の靴屋だと感心したものである。

ちなみにこのサービスをしてくれたのは、高級靴店ではなく普通の靴チェーン。店員さんもマネージャーなどではなく、どちらかというと下っ端の若い女性だった。

話はシンデレラ整形から靴屋のサービスへとそれてしまったが、今一度シンデレラ整形の怖さをのぞいてみたい方は、デイリーメールオンライン版の記事をご覧くだされ。写真を見ただけで身震いすること間違いなし!



あっと気がつけば、ロンドン在住が人生の半分を超してしまった。もっとも、まだ知らなかった昔ながらの英国、突如登場した新しい英国との出会いに、驚きや共感、失望を繰り返す日々は20ウン年前の来英時と変らない。そんな新米気分の発見をランダムに紹介します。繊研新聞ロンドン通信員



この記事に関連する記事