森ビルの商業施設が順調 ラフォーレ、両ヒルズが貢献

2017/10/27 04:29 更新


 森ビルの商業施設事業が17年3月期に続き、今期も順調だ。上期の主要6施設の売上高は基幹の六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、グループ会社が運営するラフォーレ原宿の伸びが大きく寄与し、前年実績を上回った。六本木ヒルズ、表参道ヒルズは改装によって上質で高感度なファッションの提案を強化し、比較的高所得な顧客の支持が拡大した。ハウスカード「ヒルズカード」で新たなサービス施策を開始した成果も出た。(有井学)

 各施設の上期売上高は東京・台場のヴィーナスフォートが前年同期比13.2%減、アークヒルズと愛宕グリーンヒルズが同8%減だったが、六本木ヒルズが4.3%増、表参道ヒルズが7.8%増、ラフォーレ原宿が7.5%増と伸ばした。

 ヴィーナスフォートはインバウンド(訪日外国人)売り上げが団体客が多い大型総合免税店を中心に苦戦した。近隣居住者を中心とした国内客の需要は堅調で、非免税品売り上げは増加した。個人客が多い六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、ラフォーレ原宿のインバウンド売り上げはそれぞれ約40%増と好調だった。

 六本木ヒルズは昨年春からの3年間で「ヒルズクオリティーを高め、都内屈指のラグジュアリーSCを目指す」(穐山壮志営業本部商業施設事業部運営部長兼六本木ヒルズ運営室長)施策を実施。上期は物販と飲食店で9区画を改装したことで休業区画が増えたにもかかわらず増収を確保した。

 改装区画では昨秋に拡大した「ユナイテッドアローズ」や昨冬に導入した「ロレックス」「グッチ」、今春にオープンした「サンローラン」などが大きく寄与。既存店も国内ブランドで「エストネーション」「ドゥーズィエムクラス」「オデット・エ・オディール」「アドーア」「プラステ」など、海外ブランドで「ルイ・ヴィトン」「ジョルジオ・アルマーニ」「エスカーダ」「ボスストア」「ボッテガ・ヴェネタ」「ロロピアーナ」などが売り上げを伸ばした。

 表参道ヒルズは昨春夏に全体の約4割を刷新、「Y3」「ヴァレンティノ」などのファッションの新店が「顧客をしっかり獲得した」。今期もファッション感度をさらに高める改装を継続、9月に導入した「クロエ」の旗艦店などが順調だ。

 ヒルズカードで年間300万円以上購買した顧客「4スター」会員向けの新サービスを6月から開始。両施設ともに、施設全体や各店での顧客限定パーティーなどを行い、顧客満足向上につなげた。六本木ヒルズは4スター以外を含むカード会員向けのファッションイベント「ファッションコネクト」を10月7日に実施、各店で限定商品なども販売し、同日の売り上げは前回のイベントに比べて16%増となった。

 下期も表参道ヒルズを除く各施設で一定規模を改装し、通期でも増収を目指す。六本木ヒルズは10月28日に「カルティエ」を導入し、ラグジュアリー化を促進。11月1日には「施設内の就業者のニーズに応える」ため、米ハンバーガーレストラン「シェイクシャック」を入れる。ヴィーナスフォートは来春に「近隣に住むファミリーをさらに取り込む」改装を計画している。

六本木ヒルズは秋の顧客向けファッションイベントでランウェイショーを初めて実施、好評だった


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