愛されるスーツ地はこうして作られる 御幸毛織の四日市事業所に息づく技と進化

2026/03/25 15:00 更新有料会員限定NEW!


小さな傷などは手作業で補修する。非常に細かい技術が求められる

 御幸毛織(名古屋市)は昨年、創業120周年を迎えた。高級紳士服地で知られる同社のものづくりを支えるのは毛織物を製造する四日市事業所だ。創業からの丁寧なものづくりと技術を守りながら、新しいテクノロジーや設備を導入し、技術を磨き続けてきた。伝統に裏打ちされた真摯(しんし)な物作りの精神は、ユーザーから高い評価を受けている。

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 三重県の近鉄四日市駅から湯の山温泉方面に1駅。横に連なる鈴鹿山脈を眺めながら無人駅を降り、少し歩くと住宅地の中に四日市事業所はある。敷地内の池には鮮やかなオレンジ色のカワセミが水面を見つめていた。季節ごとに様々な鳥が訪れる、自然豊かな場所に位置する。

 同事業所のルーツは東洋紡の歴史と密接に関わっている。35年に毛織物を製造する三重製絨所として始まった。なぜ四日市なのかと思うかもしれない。まず、四日市港が発達していたのが理由の一つ。ウール原料を輸入し、東洋紡を含めたウール紡績企業が多く集積していたからだ。さらに鈴鹿山脈の水資源が豊富だったことも一つ。良質な軟水が染色整理の品質に欠かせないことからこの地に根付いた。

 11年に御幸毛織の城北工場を移設し、御幸毛織四日市事業所として再スタートした。そのため工場としての歴史は長く、昨年に稼働90年を迎えた。現在はトップ染め、補修、反染め、整理加工、裁断の機能を持つ。

まねできない色

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