三越伊勢丹、紳士靴で大人の遊び心

2015/03/06 05:37 更新


 三越伊勢丹は4日から、紳士靴で新提案を始めた。伊勢丹新宿本店にスタイリング軸でスニーカーを編集したショップ「キック・ザ・シティ」を開設し、三越銀座店は異業種と共同開発した靴を販売している。いずれも同社が独自商品・企画を発信する「オンリー・エムアイ」の一環で、対象顧客に合わせた売り場作りを目指すもの。伊勢丹はファッション感度が高い男性、三越は知性に富むビジネスマンの心をつかむのが狙いだ。

 伊勢丹新宿本店のキック・ザ・シティは、10ブランド・30種類のスニーカーをスタイリングのキーアイテムとして提案する。「コアなスニーカーファンがいるショップと大手量販店の中間ゾーンを狙った」(福田隆史紳士・スポーツ統括部紳士第一商品部紳士靴バイヤー)とし、ファッション感度、スニーカーへの関心の両方が高い客を呼び込む。

靴だけを販売。スタイリングはイメージムービーをデジタルサイネージで見せる(伊勢丹新宿「キック・ザ・シティ」)
靴だけを販売。スタイリングはイメージムービーをデジタルサイネージで見せる(伊勢丹新宿「キック・ザ・シティ」)

 ブランド別でなく、〝ファッション都市〟を切り口に編集した。①ニューヨーク(NY=コンテンポラリー)②パリ(モード)③ロンドン(クラシカル)④ロサンゼルス(LA=サーフ&スケートカルチャー)の4テーマで分類。たとえば「リーボック」の「ポンプヒューリー」はNY、「コンバース」の「オールスター」はLA、「スプリングコート」はパリといった具合だ。「アディダス」など複数のテーマにわたって紹介するブランドもある。まずはメンズ館1階プロモーションスペースで3週間販売する。第2弾は編集テーマを変えて4月下旬に実施し、いずれは常設を目指す。

 三越銀座店が販売を始めたのは〝銀座の街に染まった靴〟。写真作家の柏木龍馬氏とカメラの「ライカ」、レザーブランド「ユハク」のデザイナー兼職人の仲垣友博氏と協業開発した。柏木氏がライカのカメラを使って銀座の街を撮影、その写真をイメージして仲垣氏が複数の色を手染めした。

 「チェントフェリーナ」「フレジーノ」「オーツカシンス1872」の3ブランド。夕暮れの交差点やレンガ造りの高架、三越銀座店などの被写体をもとに各ブランドが3種類ずつ、計9型を販売している。7階の特設ショップ(17日まで)をギャラリーのように見立て、撮影した写真とでき上がった靴をセットで並べた。「ライカ」のカメラも展示販売している。

写真と靴をセットにしてギャラリー風に展示販売(三越銀座店)
写真と靴をセットにしてギャラリー風に展示販売(三越銀座店)
手染めでどれも一点もの。(三越銀座店)
手染めでどれも一点もの。(三越銀座店)

 同店が異業種と協業開発したのは2回目。前回は昨年9月に地元のバーと組んだ。カクテルの色を仲垣の技法で靴に再現したもので「目標比30%増と反応が良かった」ことが今回の企画を後押しした。「銀座のお客は知性に富み、遊び心やうんちくを好む。今後は財布やバッグなどのアイテムにも広げていきたい」とする。



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