三越伊勢丹ホールディングス(HD)は25~30年度の中期経営計画を策定した。6年間を27年度までと30年度までの二つのフェーズに分けて、「まち化」の準備期と位置付ける。営業利益目標は27年度に850億円、30年度に1100億円とする。
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現中計の最終年度の24年度に営業利益720億円の過去最高益を見込む。高感度上質、個の顧客とつながるCRM(顧客情報管理)が進展する一方で、「百貨店の科学」による事業構造改革により、売り上げ、利益が上ぶれする。アプリやカード会員の識別顧客は760万人に達する。
次期中計では「世界中からお客様を集め、識別化し、利用拡大を促して、生涯顧客化を目指す」(細谷敏幸社長)という。識別顧客売上高は24年度に6150億円(前期比3%増)になる見通しで、次期中計で海外顧客に広げてアプリや外商を通じて識別化し、全体で利用促進する。
百貨店を中核にしながら、不動産、金融、情報システムなどインフラ、飲食などグループならではの提供価値を様々な用途に組み合わせ、まち化に結実させる。「デパートメントストア宣言から120年が経過し、館業(マス向けビジネスモデル)から、連邦とまち化を手段に〝個客業〟への変革と進化を実現する」(細谷社長)という。
深まった顧客とのつながりを百貨店以外のグループに広げ、ワンパッケージによる提供価値と事業機会の獲得を目指す。事業間のつながりによって創出される営業利益は30年度に160億円、シェア14%を目指す。
グループ連携した仕組みを構築し、保有資産をより効率的に活用したまち化に向けた準備に着手する。