《めてみみ》『燃えるドレスを紡いで』

2026/04/01 06:24 更新NEW!


 24年に公開された映画『燃えるドレスを紡いで』。不用になった衣料品が欧米やアジアから大量に集められるケニアの状況を「自分の目で見てみたい」と思い立ち、現地を訪れたオートクチュールデザイナーの中里唯馬氏に密着したドキュメンタリーだ。

 同国には需要をはるかに超える毎年16万トン以上の中古服が届く。中古品市場などで消費されなかった衣類は、巨大なゴミ捨て場にたどり着く。ナイロビ北東部のダンドラには広大なゴミ廃棄場があり、衣類などがうず高く積まれていた。その山を前に中里氏がぼうぜんと立ち尽くすシーンが印象的だ。

 先日、中里氏を取材する機会があった。ケニア訪問の意図を改めて聞くと「(半年ごとに新作を作るという)ファッション業界に身を置くものとして、服の作り手として、この問題にどう向き合うか考えてみたかった」と返ってきた。そして「絶望的なものを目の前にすると人は『もう無理だ』と考えることをやめてしまいがちだが、クリエイターとしてはそこからが試されている。思考を止めず、考え続ければ何か突破口が見つかることがあると思っている」と強調した。

 もちろん衣料品の大量廃棄はすぐに解決する問題ではない。個人や一企業でできることも限られる。だが中里氏のように当事者意識を持ち、打開策を模索して動き続けることが重要だと思う。



この記事に関連する記事