70~80年代に「ファッションの西武」の象徴だった西武百貨店渋谷店(現在の西武渋谷店)。渋谷駅前に立地し「若者の街」を代表する存在だった。当時のDCブランドブームの火付け役だったが、西武渋谷店は26年9月に58年の歴史に幕を閉じる。
DCブランドは、70年代初めと同年代末に人気となり、その受け皿となったのが独自の編集売り場「カプセル」だ。70年9月にオープンした池袋店に続いて、渋谷店に開設した。創業したばかりのイッセイミヤケ(三宅一生)、コムデギャルソン(川久保玲)、ワイズ(山本耀司)、山本寛斎、菊池武夫らが出店。
新時代の担い手が一気にファッションビジネスの主役に躍り出た。カプセルはユニークな売り場で、実績のあるブランドでなく、無名な若手デザイナーの製品を買い取って、編集・販売した。個性的ながら資金力の乏しいデザイナーブランドを支え、その後の成長を後押ししたインキュベーションの役割を担った。
日本人デザイナーだけでなく、パリの駐在事務所を通じて「エルメス」など海外著名ブランドと提携し、いち早く国内に導入した。栄枯盛衰が世の常とはいえ、渋谷店の閉店発表は衣料品の構造問題を浮き彫りにする。「ここでしか手に入らない」「憧れの商品を実際に買える」といった独自性、希少性が百貨店の存在意義であることは変わらない。
