《めてみみ》ストアはギフト

2025/09/17 06:24 更新NEW!


 パタゴニアが先週、東京・京橋にストアを構えた。これで日本での直営店は24。想定される国内売り上げや知名度の高さに比べるとその数は少なく感じる。

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 理由をマーティ・ポンフレー支社長に聞くと「パタゴニアで店舗を新たに開くには社内で長い協議を経た上で、ようやくたどり着く。ストア内にNGO(非政府組織)が活動できるアクティビズムスペースがあるかなど、細かく複雑なアプルーバルプロセスがあり、前オーナーであるシュイナード家の許可も必要」との答え。本国のボードメンバーも出店立地の歴史などを独自に調べ、そこにストアを出す必要性を日本側に聞いてくるという。こうした姿勢の根底にあるのは「ストアは出す地域へのギフトであり、長期にわたって存在できるものでなければならない」という考えだ。

 大型商業施設の開業もあり、9月は多くのファッション・ライフスタイル企業で新規出店が目立つ。取材では「今後3年で25店を開く」「今年に入って既に13店舗出した」というブランドもあり、積極的な姿勢はパタゴニアとはかなり対照的だ。

 もちろん出店方針は企業ごとに異なるし、それぞれ尊重されるべきもの。ただ「質より量」とばかりに店舗数を競う向きもあるなかで、一つずつ吟味・熟考して出店を決めていくパタゴニアのやり方が新鮮に映った。



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