《めてみみ》単品専業が生きる道

2025/09/01 06:24 更新NEW!


 9月を迎えたものの、暑い日が続く。セーターなど秋冬物のニットアイテムを着るのはまだまだ先になりそうだ。ニット専業ブランドに取材をしていても、ニットアイテムの販売時期は激変したと全員が口を揃える。かつては秋冬偏重型の売り上げで、クリスマスギフトとしても重宝されていた。

 あるニット専業の社長も「昔のアパレル市場では約50日だった冬物の販売期間が、30日に短くなった。一方、夏物は大幅に延びて約160日となった。そのため秋冬の比重が高いニットアイテムでも夏物を拡充しなければ生き残れない」と強調する。

 ただ、いくら夏が長期化したといっても、Tシャツだけに頼っていては売り場の鮮度が落ちてしまい、需要喚起が難しい。客単価の低下も否めない。リネンを使ったニットポロや上質コットンのニットTシャツといった高単価の商品を打ち出し、夏の売り上げ比率を大幅に高めている。春夏と秋冬の比率が逆転するブランドも出てきた。

 販売時期や売る相手など、常識に縛られていては単品専業が生き残れる道は少ない。特にアイテム数やデザインバリエーションが限られるメンズ分野では、従来型の発想から脱却すべきだろう。素材やアイテム、性別、年齢の枠を超えた商品開発に挑み、次世代の顧客が心の底から求めるような新たな価値を持った服を生み出してほしい。



この記事に関連する記事