《めてみみ》マークを外して

2025/03/17 06:24 更新


 三井、三菱、住友は日本の三大財閥と呼ばれる。その中で三菱は結束力の強さで知られる。毎月第3金曜に開かれるグループ主要企業の会長、社長が集う「金曜会」はその象徴だ。三菱重工業、三菱UFJ銀行、三菱商事はそのトップに位置付けられている。

 三菱を象徴する「スリーダイヤ」のブランド力も他の財閥と異なる点だ。三菱の名やスリーダイヤの使用は厳格に管理され、たとえグループ企業であっても、マークを使用する際や社名に三菱を名乗る際は、三菱社名商標委員会の承認を得なければいけない。

 その三菱グループの繊維関連事業で相次ぎ動きがあった。三菱ケミカルが手掛けたトリアセテート繊維「ソアロン」がGSIクレオスに譲渡され、新会社のソアロンが3月3日に設立された。また三菱商事ファッションが2月28日付でワールド傘下に移り、社名はエムシーファッションに変わった。

 ソアロンは世界で唯一生産されている繊維で、ブラックフォーマルや高級婦人服のほか、中東の女性用民族衣装でも人気。スリーダイヤの付いた民族衣装の生地は中東でも高く認知されたが、事業譲渡の以前からスリーダイヤを外したソアロンブランドとしてアピールを強めてきた。マークはなくとも、製品やサービスの魅力があればビジネスは成り立つ。両社ともスリーダイヤが外れて真価が問われる。



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