人材獲得競争が激しさを増している。商社の新年の社長取材が続く中、必ずと言っていいほど話題に上がるのが「初任給爆上がり問題」だ。
それぞれこの間、賃上げや初任給の引き上げを進めてきたが「初任給が30万円超って、異次元の世界」と頭を悩ます。大手が一気に引き上げることでインパクトが大きく、自社はどうするかの判断を迫られている。
ある社長は「ここで上げなかったことで優秀な人材が採れず、成長が鈍化すれば将来に禍根を残す。出遅れるわけにはいかない」と競合他社の状況を見ながら引き上げる考えだ。取材した経営者の多くは、一様に上げざるを得ないとの判断を示している。
売り上げ、利益が伸びている時代は対応できるだろうが、成長が止まった時にどうなるかと今後の人件費比率上昇を危惧する声も聞かれる。しかし、インフレが進行する中では人件費の上昇は必至。対応していくためにも継続的な右肩上がりの成長を目指している。
一方で、「お金の力で学生を釣るのはどうか」として、金銭面だけでなく仕事のやりがい、働きがいなども含めてアピールしたいと話すトップもいる。何が正しくて、何が間違っているという話ではない。ただインフレ局面に入り、従来の採用、人事施策、経営手法では対応しきれない状況になってきたことは間違いない。