クリスマス、年末年始と書き入れ時の続く12月。都心のSCや百貨店は、にぎわいがさらに増したように見える。来館客数自体が増えているだけでなく、館内を回遊し、滞留時間が伸びていることもあるだろう。コロナ禍の短時間での目的買いとは真逆の光景だ。
客層も幅広い。20代の男女、ミセス、子連れ、一時は遠出を控えていたと思われるシニアの姿も目立つ。インバウンド(訪日外国人)客もかなり増えた。それぞれの来館動機・目的は買い物、食事、イベントと様々だからこそ、各フロアににぎわいをもたらしている。
「改めてここにしかないモノ・コトにフォーカスしてリーシングに取り組んでいる」。都心SCの営業担当者が話していた。ある会員から「ここでしか買えない物があるから施設の会員になり、どこにでもある物もここで買う」と聞いたという。「そういうことが至る所で起こっているはず」。だからこそ「他にない」の追求が欠かせないという。
大型商業施設は扱うブランド数などの集積度を強みにしてきた。何でも揃っているように見えても、特定客にとって「欲しい商品がない」「ここで買う意味がない」事例はあるはず。同質化したMDでも、強い来館動機は生まれない。小さくとも強い動機となる〝個客〟基点のMDも館のファン作りに必要だろう。動機の数は多いほど良い。