《めてみみ》正しい情報

2021/03/03 06:24 更新


 日本では人事異動の時節を迎えている。読者の中には海外に赴くよう命じられた方もおられ、期待や準備以上に不安が大きいかと推察する。

 記者は上海に赴任して2カ月が経とうとしている。思い返せば、出国時の日本は新型コロナウイルス感染が再拡大し、緊急事態宣言の再発出寸前。夕方発の機内は大半が日本人だったが、ほとんどの乗客が悲壮感を漂わせていたように思う。隣の席の40代男性は離陸前に娘さんと電話して強気にふるまっていたが、その姿勢にもらい泣きしそうになった。

 着陸した浦東国際空港では航空会社の制服など誰も着ていない。頭からつま先まで防護服で身を包んだ人ばかりで、「ウイルスとの戦い」の本気度を目の当たりにした。

 隔離明けの1月後半は、上海もコロナ感染に騒然としていたのだが、2月に入ってから感染事例の報告がなくなっていき、今やほぼ感染者数は昼食時の話題にも上らなくなった。こうした「安心」もあって、2月2週からの春節(中華圏の旧正月)消費は大きく伸びた。

 「聞くと見るでは大違い」とよく言うが、日本にいて想像する外国像には誤解が多い。20年のGDP(国内総生産)も主要国で唯一伸びた中国に対し、販売や進出にまだ慎重なアパレル企業も多いようだが、まずは正しい情報を得て判断することが大事ではないだろうか。



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